ホテルのDXが変えるフロント業務-内容と実例を紹介

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宿泊客へのサービスレベルを維持しつつフロント業務を効率化したい」「人手不足で十分な要員を割けない」。多くのホテルが抱えるこれらの課題は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進によって解決可能です。

本記事では、ホテルのDXがフロント業務をどのように変革するかを事例と共に解説します。効率化のコツやソリューションも紹介しますので、ぜひご一読ください。

ホテルのDXが変えるフロント業務-内容と実例を紹介

ホテルのDXはフロント業務の何をどのように変えるのか?

ホテルのDXはフロント業務の何をどのように変えるのか?

ホテルがDXに取り組むことで、フロント業務を以下のように変革することが可能です。

  • 仕事の進め方の改善
  • 働き方の改善や働きやすさの向上
  • 業務の自動化による、要員の削減と正確さの向上
  • 属人化の解消
  • 宿泊者や来館者に対するサービスの向上

これらを実現することで、顧客評価や収益向上、経費削減といったホテル経営に好ましい効果が期待できます。

実例を紹介-ホテルのDXが変えたフロント業務

ここからは、DXの活用がホテルのフロント業務を実際にどう変えたのか、具体例を4つに分けて紹介します。

事例1:QRコード活用で対面業務をスリム化

近畿地方のAホテルでは、人手不足の影響を大きく受けていました。人員が少ない状況でも、チェックインの対応や電話応対を省くわけにはいきません。フロント業務がひっ迫する状況下でも、顧客満足度の質を維持しつつ、効率化を進めることが求められていました。

この状況に対応するため、Aホテルでは顧客満足度を下げない範囲で業務を変更し、IT技術を導入しました。

  • 予約確認の電話を廃止し、予約確認メールに必要事項を記載する方法に変更
  • アメニティや浴衣など、宿泊における詳細説明をデジタル案内で補完(QRコードやタブレット端末を活用)
  • 貸切施設(サウナなど)の予約方法や施設の利用案内をQRコードで提供し、顧客自身で確認できる仕組みへ変更

これらの施策を行った結果、フロント対応時間の削減を実現できました。例えばチェックインの案内時間は、1回当たり5分から2分に短縮。宿泊客が多い日は、合計で数十分以上の削減効果を得ています。

事例2:PMS連携で予約調整の手間を大幅削減

東海地方で営業するBホテルでは、宿泊業務の負担軽減と予約調整業務の効率化に課題がありました。すでに予約管理システムは導入していたものの、サイトコントローラー(予約サイトを一元管理するシステム)との連携は完了しておらず、一部の予約調整を手動で行う必要がありました。

こうした状況下で宿泊業務担当者が離職し、より少ない人数で予約調整・フロント業務を回す必要に迫られたことが、DXに取り組む契機となりました。

Bホテルでは宿泊業務の作業時間を3割削減することを目標に掲げ、ホテルの予約などを扱う「ホテル管理システム(PMS)」に、サイトコントローラーとの連携機能を追加しました。その結果、以下の成果が得られ、フロント業務担当者の作業時間を7割削減できました。

  • Web予約から予約情報をPMSに自動で取り込めるようになった
  • オーバーブッキング(過剰予約)のリスクがなくなった
  • 新人スタッフでも、PMSへの予約入力をスムーズに行えるようになった

事例3:生成AI活用で外国人客への対応品質を向上

北海道にあるC旅館は、多くの外国人旅行者にも選ばれている宿です。英語を活用した接客を行っていましたが、従業員の英語スキルには個人差があり、対応の質にばらつきが発生していました。

この課題を解決するため、C旅館では「夕食時間」と「連泊時の清掃要否」の確認業務に生成AIを活用しました。客室内にタブレットを設置することで、チャットボットを通じて外国人旅行者とのやり取りや必要な案内を行いました。

施策の実施により、以下の成果を得ました。

  • 英語が堪能でない従業員でも、スムーズなチェックイン対応が可能になった
  • 英語以外の言語を母国語とする外国人旅行者にも対応できた

生成AIを適切に活用することで、多言語対応が可能な特定スタッフへの業務集中を防ぎつつ、フロント業務全体の対応レベルを底上げすることに成功しました。

事例4:Buddycomでチーム連携と多言語対応を強化

山陰地方で営業するD旅館では、スタッフ間の連絡手段に課題を抱えていました。

  • 駐車場や送迎中のスタッフと、スムーズに連携できない場面がある
  • 急な天候の変化や交通状況の変動に対して、柔軟に対応しにくい
  • やり取りが音声のみのため記録が残らず、聞き間違いや聞き忘れによるミスが発生する
  • 外国人スタッフにとっては、理解しにくい日本語の指示がある

これらの課題を解決するため、D旅館では楽天モバイルの通信回線に加え、スマートフォンで使えるトランシーバーアプリ「Buddycom(バディコム)」を導入しました。導入により、以下の成果を得ました。

  • 送迎車が近づくと、フロントに連絡が入るため、到着に合わせて宿泊客をスムーズに迎える体制が整った
  • やり取りの記録が残るため、聞き逃した確認や振り返りに活用できるようになった
  • 翻訳機能があるため、外国人スタッフもスムーズに業務を遂行できるようになった
  • 緊急時の対応も迅速に行えるようになった

楽天モバイルとBuddycomの活用により、以下のメリットを実現しています。

  • スムーズで正確な業務遂行の実現
  • スタッフが働きやすい職場の実現
  • 宿泊客や来館者への快適なサービスの提供

ホテルのDXを進める方法

ホテルのDXを進める方法

ホテルのDXは、以下のような多様なシステムやITツールを活用して実現できます。

  • ホテル管理システム(PMS)
  • タブレットやスマートフォン等で閲覧できるドキュメント・マニュアル
  • 予約内容や指示内容をセルフで確認できるシステム
  • 生成AI
  • ビジネスチャットなどのコミュニケーションツール

DXを進める際は、以下の手順を参考にするとよいでしょう。

  1. DXの目的を明確にする
  2. プロジェクトチームを作る
  3. 現状を調査して、業務上の課題をピックアップする
  4. 優先して取り組む課題を選定する
  5. 導入するツールやシステムを決定し、具体的な計画や手順を決める(社内の仕組みも変える)
  6. システムやツールの導入を行う
  7. 課題が解決できたか、評価を行う(導入したデジタル技術の定着にも取り組む)

フロント業務をDXで効率化する5つのコツ

DXの事例や進め方を踏まえて、「自社でもフロント業務をDXで効率化したい」と考えた方も多いのではないでしょうか。成功するためには、次に解説する5つのコツを押さえて進めることが重要です。

フロント業務の問題を漏らさず出し合う

フロント業務を遂行する際に直面している問題を、すべて出し切ることが効率化の第一歩です。業務に支障が出ている事象であっても、「これは仕方がない制約だ」と思い込んでいては、根本的な解決にはつながりません。

些細なことであっても、業務に支障を生じている、あるいはその恐れがある項目については、問題として漏らさずリストアップしましょう。この徹底した洗い出しが、より良い業務改善につながります。

現状のフロント業務にとらわれず、幅広い選択肢から検討する

DXで効率化を図る際は、これまでの前提条件を取り払い、幅広い選択肢から検討することが重要です。「うちは○○という制約があるから無理」と最初から決めつけてしまうと、解決のチャンスを逃してしまいます。

DXを推進すれば、これまで不可能だと思われていた業務も実現できる可能性があります。あるべき業務の姿を追求し、新しい技術や手法の導入も、積極的に検討することをおすすめします。

宿泊客の満足度を上げるよう工夫する

ホテルでDXに取り組む際には、業務効率化だけでなく「宿泊客の満足度向上」も意識しましょう。DXによってフロントでの対面対応が減ると、宿泊客に「サービスが簡素になった」と感じられるリスクがあります。

そこで、デジタルならではのきめ細かい情報提供を組み合わせることが重要です。

  • 宿泊日が近づいた際に、リマインドメールを送付する
  • 宿泊客の興味・関心やニーズに応じた情報提供を行う(館内施設、周辺の見どころなど)
  • 宿泊客の母国語で情報を提供する

こうした工夫により、業務効率化と顧客満足度の向上を両立できるでしょう。

スモールスタートでの業務改善を心がける

「フロント業務を改善するなら、一気に行いたい」と考えるかもしれませんが、すべてを一度に解決しようとするのはおすすめできません。範囲が広すぎると課題の整理に時間がかかり、現場の混乱を招いて改善自体が頓挫するリスクがあるからです。

成功の鍵は「スモールスタート」です。比較的簡単に導入でき、効果が出やすい課題から順に取り組むとよいでしょう。小さく始めることで改善計画も立てやすく、実践もしやすくなります。まずは一つの成功事例を作って効果を「見える化」できれば、従業員や経営陣の支持も得やすくなり、次のステップへ進みやすくなります。

ホテル業界とDXの両方に詳しい専門家へ相談する

「ITやDXについては、社内に詳しい人がいない」。そのようなホテルも、多いのではないでしょうか。適切な施策には、ホテル業界に精通したDXの専門家への相談が近道です。専門家は多種多様なホテルの事例を熟知しており、経験に基づいた適切なアドバイスが期待できます。

楽天モバイルでは、「ホテルDXパッケージ」を提供しています。個々のホテルが抱えるお悩みをもとに、楽天モバイルの通信と多種多様な法人向けサービスを組み合わせて提案するソリューションです。これまで「仕方がない」と諦めていた課題も、「ホテルDXパッケージ」なら解決できる可能性があります。まずは楽天モバイルへ一度ご相談ください。

DXの活用で、フロント業務の改善と従業員の負荷軽減を両立できる

DXの活用で、フロント業務の改善と従業員の負荷軽減を両立できる

「人手不足はマンパワーで乗り切るしかない」と思われがちな状況でも、DXを活用すれば従業員の負荷を下げつつ、より良いフロント業務を実現できるケースは少なくありません。簡単な取り組みで改善できる項目から着手して、従業員や経営陣の理解を得ながら段階的にDXを進めていくのが成功の秘訣です。

フロント業務の遂行に課題を抱えているホテルは、楽天モバイルのサービスを活用して改善できる可能性があります。まずは一度、お気軽にご相談ください。

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