LLM(大規模言語モデル)を支える技術を紹介!注目される技術との違いも解説

LLMには、さまざまな技術が使われています。LLMを知るうえで、支える技術の理解や関連する技術との違いを把握することは有効です。この記事では5つの技術を紹介し、3つの関連する技術との違いを解説します。
LLM(大規模言語モデル)を支える技術を紹介!注目される技術との違いも解説

LLMを支える5つの技術

LLMを支える5つの技術

LLMの実現には、さまざまな技術が活用されています。ここでは主な5つの技術を紹介します。内容をよく把握して、LLMの上手な活用にお役立てください。

ディープラーニング

ディープラーニング(深層学習)は人間の脳を模倣した、コンピュータに学習させる仕組みを指します。以下に挙げる3つの層を通してデータに潜むルールやパターンを抽出し、出力するデータを決める仕組みです。

  • 入力層
  • 中間層(隠れ層)
  • 出力層

ディープラーニングは、中間層を複数持つことが特徴です。より正確な出力を可能としました。どの特徴に着目して学習するか、コンピュータが自ら決定できることもディープラーニングの特徴に挙げられます。

Transformer

Transformerは、LLMの基盤となっている深層学習モデルです。内部に人間のように重要な項目に注目する、あるいは注意を払う「Attention機構」を備えています。実際には単語ごとの関連性や重みづけを考慮するスコアを用いて処理しています。

Transformerは入力側にエンコーダ、出力側にデコーダが用意されています。入力した文章はエンコーダにより受け付けられ、Transformerにより処理されます。処理後のデータはデコーダにより、人間が読める形で提供されます。

Transformerの活用により、速くて精度の高い処理を実現できました。従来のディープラーニングと比べて、学習能力や長期的な記憶力、汎用性や拡張性に優れるという特徴を有しています。

トレーニングに使われる大量のデータ

LLMはトレーニングに際して、大量のデータが使われることも特徴的です。国立研究開発法人産業技術総合研究所は、以下の点を指摘しています。

  • 学習に使う単語の量は、数千億以上
  • パラメータの数は、一千億から数千億以上

大量のデータを使って学習を行うことにより、LLMの内部に膨大なデータが蓄積されます。このことは人間が見ても違和感がなく、スムーズにコミュニケーションが取れる基盤となっています。

大量のデータを高速で処理できるコンピュータと高速通信回線

コンピュータとの自然な会話には、リアルタイムに近いデータ処理と通信のスピードが求められます。高い性能のLLMを使いたい場合は、クラウド上に設置したコンピュータを選ぶことになるでしょう。クラウドは月額料金がかかる一方で、容量やサーバーの追加を短時間で行えるメリットがあります。利用者の増大やサービスの拡大に対する対応も柔軟に行えるため、ビジネスチャンスを逃しません。

スムーズなやり取りには、高速通信回線も欠かせません。光回線や5Gといった回線が選ばれるでしょう。5Gについては、「 注目される5Gの技術!特長と楽天モバイルの取り組みをご紹介 」記事をご参照ください。

なおLLMのなかには、オンプレミスで動くものもあります。セキュリティに懸念を持つケースでも、選びやすいことはメリットです。システムが要求するスペックを確認のうえ、導入してください。

プロンプトエンジニアリング

LLMを活かすためには、入力に用いる指示文の工夫も重要です。プロンプトエンジニアリングは指示の内容を工夫し、より良い出力を得るための技術です。入力する内容(プロンプト)に含まれる代表的な4項目を、以下に挙げました。

  • 回答を求める質問の内容
  • LLMが実行すべき指示やタスク
  • 実行に際し、考慮してほしい情報や背景
  • 出力する形式やフォーマット

必要な情報を得るためには上記の項目を含み、具体的・明確な指示文を作成するスキルが求められます。

LLMと関連する技術との相違点

LLMと関連する技術との相違点

世間ではLLM以外にも、いくつか注目されている技術があります。自然言語処理や機械学習、生成AIとの違いを把握することは、LLMを正しく理解するうえでも有効です。それぞれの違いはなにか、順に確認していきましょう。

LLMと自然言語処理(NLP)との相違点

LLMは、自然言語処理(NLP)を実現する技術の一つに挙げられます。NLPは人間が使う言葉についてコンピュータを活用して、以下の処理を行う技術を指します。


処理 内容
言語理解 人が書いた文章に対して、なんらかの処理をする技術
言語生成 コンピュータに文章を生成させる技術。文章の要約や機械翻訳も含む

LLMはNLPをベースにしてシステムに大量の単語や文章を学習させ、文章の理解や人間との対話を実現した言語モデルです。

LLMと機械学習との相違点

LLMと機械学習は、目的や対象となるデータに違いがあります。LLMは文章の生成や理解を目的としています。また対象とするデータは、文章などのテキストデータです。

一方で機械学習は、データの予測や分類といった目的で使われます。使われるデータは語句や文章だけでなく、数値、画像、音声など多種多様です。出力結果も文章に限らず、分類結果やグラフなど、目的に応じて多種多様な方法を選べます。このことからLLMは、文章の生成や人間との対話に特化した機械学習の仕組みといえます。

生成AIとLLMは同じ意味か?

LLMは生成AIの一つで、文章の生成や要約などテキストに関する自然言語に特化した技術です。一方で生成AIは文章に限らず、静止画や動画、音声や音楽なども生成できます。この違いがあるため、生成AIとLLMは同じ意味ではありません。

関連する技術を通して、LLMの理解を深めよう

関連する技術を通して、LLMの理解を深めよう

ここまでLLMを支える5つの技術と、関連する3つの技術との違いを解説しました。技術をよく知ることで、実務にLLMをより良く活用できるでしょう。それぞれの特徴やLLMとの違いを把握して、LLMの理解を深めてください。

またLLMの概要は「 いま注目を浴びるLLM(大規模言語モデル)。どのような技術か解説 」記事で、LLMが役立つ場面や課題は「 注目のLLM(大規模言語モデル)。ビジネスに役立つ場面と課題を解説 」記事で取り上げました。利用者側の記事もお読みになることで、LLMの理解がさらに深まることでしょう。