LLMは、ビジネスのさまざまな場面で役立つ技術です。ここでは7つのケースを紹介します。よりよいビジネスの遂行や業務効率化にお役立てください。
LLMは、豊富な語句や文章を学習しています。あなたは求める情報を入力するだけで、LLMはさまざまな情報をもとに、回答を文章の形で提示します。
検索エンジンを使うと、検索結果をもとに各サイトを見て必要な情報を探さなければなりません。一方でLLMならば、このような手間は不要。必要な情報をすばやく入手でき、手間の軽減とビジネスのスピードアップに貢献します。
LLMが持つ豊富な知識は、さまざまな文章の作成にも役立ちます。あなたは要点をLLMに与えるだけで、ひととおりの文章を作成し提示してくれます。
草案をLLMで作成することは、効果的な使い方の一つです。文章作成の負担を軽減しながら、より良い文章をつくることが可能です。
LLMは文章を読んで理解し、要点をピックアップする用途でも使えます。この特徴を利用して、Webに公開された情報を要約して示すことが可能です。忙しいときでも記事の要点を把握し、実務に活かせることはメリットといえるでしょう。
LLMは同じ要件でも、出力されるタイミングによって生成される文章が変わる特徴も持っています。文章作成にAIを活用していること、次の語句を選ぶ際に確率を用いていることは主な理由です。
この特徴は、文章のブラッシュアップに活かせます。語句の言い換えや別の表現の提案を通して、より良い文章づくりに役立てることが可能です。
LMは多種多様な言語の語句を学習し蓄積しています。この強みを活かし、他の言語への翻訳も手軽に行えます。辞典とにらめっこしなくても、スピーディーで正確な翻訳ができることはメリットの一つ。外国語に疎い方でもさまざまな言語でコミュニケーションを取れるとともに、外国語で書かれた資料も日本語で理解することが可能。より多くの情報をビジネスに役立てることができます。
顧客との自然な対話を自動で行えることも、LLMが備える見逃せない特徴です。人間が入力した文章の内容をAIの活用により理解したうえで、回答文を作成して応答を返します。問いかけに使う文章の制約が少ないため、気軽に使えるでしょう。
24時間365日使えることも魅力的です。代表的なサービスの例に、チャットボットが挙げられます。
LLMは、システム開発の現場でも役立ちます。一例を以下に挙げました。
「より良いコードを、より低コストでつくる」ことは、開発業務に求められるおもな要件の一つです。LLMは開発時間の短縮と高い品質のプログラム作成を両立できる手法として有効です。効率的な開発を遂行でき、コスト削減につながることもメリットに挙げられます。
LLMは、これ以外の業務にも活用できます。「生成AIを活かせる業務は幅広い。特徴や活用のポイントを紹介」記事もあわせてご確認ください。
LLMは、いま注目されているサービスに活かされています。ここでは2つのサービスを紹介します。LLMがどのように活用されているかご確認ください。
多くの方が注目する「生成AI」は、LLMが活用されている代表的なサービスです。言語の種類を問わず、人間どうしが交わす会話に近いやり取りを行えます。また文字でのやり取りだけでなく、画像や音声でのやり取りにも対応するサービスも現れています。
「ChatGPT」や「Google Gemini」は、代表的な生成AIです。名前を聞いた方や実際に使った方も多いでしょう。生成AIについては「 ChatGPTはどんなサービス?仕組みや実務に活かす方法を紹介 」記事で詳しく解説しています。
また「 LLM(大規模言語モデル)とはなにか?特徴や動く仕組みを解説 」記事、および「 LLM(大規模言語モデル)を支える技術を紹介!注目される技術との違いも解説 」記事で、LLMの技術的な解説を行っています。あわせてご参照ください。
LLMは業務のさまざまな場面で役立つ技術ですが、課題もあります。これから解説する4つの課題に留意のうえ、問題が生じないよう注意してご活用ください。
LLMは多種多様な問いに対して回答を返せますが、その内容は常に正しいとは限りません。LLMはときに誤った、または現実には存在しない回答を、あたかも真実であるかのように返す「ハルシネーション」を起こす場合があることに注意が必要です。膨大なデータを学習しているはずのLLMでも、完璧とは限りません。
LLMから得た回答はうのみにせず、正しいことを人間の目で確認することが重要です。特に重要な用途で使う場合は、根拠のある回答かどうか検索エンジンなどを使ってチェックしてください。単にLLMの回答がWebに公開されているだけでなく、公的機関など信頼性の高いWebサイトに掲載されているとベストです。
LLMによっては、入力したデータがLLMの新たな学習データとして使われる場合があります。もしあなたが機密情報や個人情報を入力した場合、その情報は今後LLMが作成する回答文に含まれます。これにより貴社の機密情報や個人情報が競合他社に対して表示されるといった、情報漏洩を引き起こす可能性が高くなります。
このため、機密情報や個人情報はLLMに送信しないようにしましょう。LLMに問いかける際には、「社外に漏れてはいけない情報が入っていないか?」という点をチェックしてから送信してください。
LLMが出力する文章や画像、音声は、オリジナルのものとは限りません。意図せずとも、すでに公開されている他の著作物と一致するおそれがあるためです。この状況でLLMが出力したコンテンツを活用すると、故意でなくとも著作権侵害をしたことになるおそれがあります。また勝手に人の画像を使うと、肖像権の侵害にあたるリスクがあります。
これらのコンテンツを公開した場合は、著作者や肖像権などを侵害された方から多額の損害賠償を請求されるかもしれません。「LLMが出力したものはオリジナルだから大丈夫」という考えは避けましょう。出力された内容は著作権や肖像権など、他者の権利を侵害していないか確認してから使用してください。
LLMは、入力欄を悪用するセキュリティリスクがあることにも注意が必要です。
セキュリティリスクの項目 | セキュリティリスクの内容 |
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プロンプト・インジェクション | 悪意のある質問や指示を入力してLLMを操り、情報漏洩や誤った情報の拡散などの事態を引き起こす |
プロンプトリーク | 情報漏洩を目的として、非公開とすべき情報を出力させる |
ジェイルブレイク | 悪意のある入力を行い、危険な情報や倫理的ではない文章を生成させる |
これらを悪用することで、以下に挙げる不都合な事態を引き起こすおそれがあります。
LLMは、上記に挙げる悪影響を防ぐ対策を取っています。しかしLLMやITに詳しいハッカーはシステムの脆弱性を突き、システムに悪影響を及ぼす指示を入力するおそれがあります。
LLMは、さまざまな業務で役立ちます。どの法人でも、LLMが役立つ業務は存在するでしょう。まずは身近で小さな業務からLLMを活用し、業務効率化などの有効性を実感してください。小さくとも有効性が実証されていれば、主要な事業への応用もしやすいでしょう。
一方でLLMには、いくつかの課題があります。使い方を誤ると、事業に大きな影響を与えかねません。LLMの特徴と注意点を理解したうえで、長所を伸ばし短所をカバーする使い方を心がけましょう。