ChatGPT はアメリカのOpenAI社が開発・運営する、AIを活用したサービスです。AIについては、「 生成AIを活かせる業務は幅広い。特徴や活用のポイントを紹介 」でも解説しています。ここでは、5つの項目をもとに、ChatGPTの特徴と魅力を確認していきましょう。
ChatGPTは人間が問いかけるだけで、求める情報を簡単に得られるサービスです。文意を自動的に判断できるため、フォーマットに従って質問する必要はありません。思い立ったタイミングで自由に問いかけを行い、回答を得ることが可能です。
ChatGPTによる回答は一度に表示されず、少しずつ表示されます。まるで人間が考えながら回答しているような感覚を得られることは特徴の一つです。
ChatGPTは無料プランのみで始まりましたが、2023年以降は有料プランも登場しています。無料プランと有料プランでは、機能に違いがあることに注目してください。詳細は「ChatGPTには複数のバージョンがある」で解説します。
ChatGPTへの問いと回答は、多言語に対応しています。例えば日本語で問いかければ、日本語で回答を得られます。日本語から他の言語へ、また他の言語から日本語への翻訳を指示することも可能です。事前にカスタマイズを行う必要はありません。
ChatGPTはパソコンで扱えるWebブラウザのほかに、スマートフォンアプリでも使えます。外出先や通勤時間で手軽に情報を得られることも、見逃せないメリットといえるでしょう。
ChatGPTは、簡単に始めることが可能です。以下いずれかのアカウントがあれば、「Sign up」ボタンを押して画面の操作に従うことで、無料版に登録できます。
簡単なステップを踏むだけで、ChatGPTの魅力的な機能を使い始めることができるでしょう。
なお以前は登録にあたり、電話番号の入力と認証を求められた時期がありました。しかし2024年1月時点では、電話番号の入力は不要です。一方で名前と生年月日の入力は必要です。
ChatGPTは、コンピューターで処理できる多くの項目に対応できます。ここでは、日常業務にありがちな5つの項目を取り上げます。ChatGPTの便利さをご確認ください。
文章の生成は、ChatGPTが得意とする代表的な項目です。簡単な指示で、まとまった量の文章を作ることが可能です。条件を指定すれば、その内容に合った文章を返してくれるでしょう。
同じ指示を出しても、生成される文章がその都度変わることもChatGPTの特徴に挙げられます。複数の文章をChatGPTに作ってもらったうえで、最適な文章を選べることは魅力の一つです。
ChatGPTは提示された文章を理解したうえで、以下の処理を行うことも可能です。
量の多い、または難しい文章も理解しやすくなるとともに、正確なアウトプットにも役立ちます。円滑な事務処理を実現できることも魅力の一つです。
ChatGPTは、簡単な四則演算も行えます。2桁×2桁の掛け算など、人間が直感で答えを出しにくい問題にも正しい回答を返せます。
一方で桁数の多い計算や、高度な計算は得意としていません。京都大学の湊真一氏は2023年7月7日に、以下の計算や数値の認識が不正確となることを指摘しました。
もし因数分解など高度な計算をさせたい場合は、「Wolfram」などのプラグインを使うことで正確に行えます。
ChatGPTの有料プラン「ChatGPT Plus」では、画像や音声も認識できます。テキストで質問を入力する代わりに、アップロードした画像をもとに回答を求めることが可能です。花や料理、部品の名前や、風景の場所を知る用途で使えるでしょう。また画像に記された文字を読み取ることも可能です。文章では正しく説明しにくいものも、画像を使うことで意図した回答を得やすくなります。
ChatGPT Plusではテキストで入力する代わりに、音声で問いかけを行うことも可能です。画面での入力がしにくい場面でも、手軽にChatGPTへたずねて必要な情報を得られる機能は魅力的です。
ChatGPTは、プログラミングにも活用できます。PHPやPythonなど、よく使われるプログラミング言語でコードを作成できます。機能と言語を指定して、ChatGPTに指示しましょう。
プログラミングにバグが無いかチェックできることも、ChatGPTの魅力です。コードを入力してチェックを依頼すると、不適切な箇所と正しいコードを返してくれるでしょう。ChatGPTは、システム開発を効率的に進める目的でも役立つサービスです。
ChatGPTは、なぜ自然な会話ができるのでしょうか。機械学習の一つでAIによく使われている「ディープラーニング」(深層学習)の技術を活用し、膨大なデータを持つ大規模言語モデルであることは代表的な理由に挙げられます。
とりわけ文章を単語に分解した際、お互いにつながりやすい単語がある、またはつながりにくい単語があることは注目しておきたいポイントです。例えば「芸術は」に「美しい」はつながりやすく、違和感を感じにくいでしょう。一方で「芸術は」に「かゆい」は、つながりやすいとはいえません。どのように理解すればよいか、頭を抱える人も多いのではないでしょうか。
文章が入力されるとChatGPTは文脈を理解したうえで、単語に分解して認識します。回答の作成にあたっては、はじめに来る単語を決めたのち、次にどのような言葉をつなげるか確率をもとに決めていきます。以下に該当する用語どうしはつながりやすいため、自然に読める文章を作りやすいというわけです。
ChatGPTは回答を作成する際、上記の方法でその都度文章を作成しています。このため同じ問いを行っても、回答はその都度異なることも特徴の一つです。
ChatGPTには、継続的に改善が加えられています。2024年時点では、複数のバージョンが使われています。ここでは代表的な3つのバージョンについて、それぞれの特徴を確認していきましょう。
2022年11月に公開されたバージョンです。無料で使えるため、登録した時点ではこのバージョンを使うことになるでしょう。2,500字程度の文章を入力し、ChatGPTに問いかけることができます。
一方で学習済みのデータは、基本的に2022年1月までの内容に限られます。入力できる情報はテキストデータに限られることにも注意が必要です。画像や音声による問いかけはできません。
2023年3月に公開されたバージョンで、有料版「ChatGPT Plus」の契約により使えるバージョンです。テキストなら、約25,000字の入力に対応。画像や音声による入力にも回答を出せます。専門性の高い分野でも正しい回答を出せるようになったほか、倫理的に問題のある回答を出しにくくなるよう工夫が施されました。
一方でGPT-3.5と異なり、2024年1月時点では2023年4月までのデータを学習しています。
2023年11月6日に公表された、有料で使えるバージョンです。2023年4月までの学習データをもとに回答できるほか、以下のメリットがあることも見逃せません。
新しい情報をもとに、より適切で豊富な回答を得やすくなることはメリットといえるでしょう。
ChatGPTは、さまざまな実務に活かせます。ここでは6つの項目を取り上げ、ChatGPTができることを確認していきましょう。
アイデアを得ることは、ChatGPTを有効に活用する代表的な方法です。いつでも問いかければ、いちいち検索しなくてもアイデアを得られます。条件をつければ、求めるアイデアを得やすくなるでしょう。
ビジネスの現場では、近年「壁打ち」も注目されています。これは話を誰かに聞いてもらうことで、考えを整理する手法です。相手は話を聞いて何かコメントをすれば良く、返事の内容に責任を負う必要はありません。しかし「相手の時間を使うのは気が引ける」方も多いのではないでしょうか。
ChatGPTは、壁打ちの相手役に適しています。いつ話をしても、嫌がらずに対応してくれることはメリットといえるでしょう。壁打ちを通して、アイデアを煮詰めることも可能です。
ChatGPTなら、文章の構成や下書きも作成できます。提示された構成をもとに文章を作成すれば良いため、実務の負担を軽くできます。詳細な要件を入力して構成案を得る方法もありますが、キーワードをもとにChatGPT Plusを用いて構成案を作成する「記事構成案作成ウィザード」も公開されています。
ChatGPTが生成した文章をそのまま使うことはおすすめできませんが、下書きを作る用途ならおおいに活用できます。下書きをもとに以下の作業を行うことで、独力での作成と比べてより良い文章を仕上げることができるでしょう。
ChatGPTは、文章を要約して文章の趣旨をすばやく知る用途でも活用できます。文字数や行数を指定すれば、その範囲内に収めることが可能です。また要件や要望を指定することで、希望に合った要約文を作りやすくなります。難しい文章が提示された場合でも、理解しやすくなることはChatGPTを活用するメリットの一つです。
官公庁からは誰でも使えるデータが多数公開されていますが、探す手間がかかることは難点です。ChatGPTなら得たい情報を問うだけで、必要な情報を得られます。例えば日本の人口をたずねれば、おおよその回答が返ってくるでしょう。正確な値を知りたい場合は公的なサイトで確認する必要がありますが、概算レベルの数字を得られることはメリットです。
ChatGPTは、さまざまな用語を学習しています。難しい専門用語でも、一言問いかけるだけで手軽に回答を得られ、意味を知ることができるでしょう。もちろん「そんなことも知らないの?」と言われる心配は無用です。
但し学習済みの範囲はGPT-3.5が2022年1月まで、GPT-4やGPT-4 Turboでも2023年4月までです。新しい用語には対応していない場合があることに注意してください。
ChatGPTは社内での事務作業だけでなく、顧客対応の手段としても活用できます。チャットボットと連携することで、まるで人間と対話しているようなスムーズな対応を24時間365日提供できます。事前に想定問答集を用意しなくてよいため、多種多様な要望にも対応できるでしょう。ChatGPTの活用は貴社の売上アップと、顧客満足度向上を両立できる優れた手法です。
ChatGPTは便利ですが、万能ではありません。実務に活かすためには、知っておきたい注意点が6つあります。それぞれの項目をチェックして、ChatGPTを上手に活用しましょう。
ChatGPTは、最新の情報を知っているわけではありません。このため、ニュースの情報源を得る方法としては使えません。時々刻々と変化する状況にも追随できないことに注意してください。
ChatGPTは、インターネットに蓄積された情報をもとに学習しています。このため、インターネット上に情報が無い問いへの回答はできません。これは書籍やノート、自己の体験など、多種多様な情報から回答を探し出せる人間との大きな相違点です。
例えば古文書にしか書かれていない情報をChatGPTにたずねても、回答は得られません。また難しい交渉を行っている場合は、相手の心の中はぜひとも知りたい情報です。しかしインターネット上に情報は無いため、ChatGPTも適切な回答は行えないでしょう。
ChatGPTは、あらかじめ学習した情報の範囲内でしか回答を導けません。そもそも学習に使われた情報に誤りがあれば、正しい回答は得られないわけです。このためChatGPTは誤った、または意図しない回答を返す場合があることにも注意が必要です。
ChatGPTを使って得た回答はうのみにせず、正しいかどうか必ずチェックしましょう。
ChatGPTは回答を出力する際、他のコンテンツと重複しないよう工夫しているわけではありません。一見オリジナルな回答に見える場合でも、そのまま使うと著作権侵害になるおそれがあることに注意してください。もし回答内容を公開する場合は事前にコピペチェックを行い、重複するコンテンツが無いか確認しましょう。
ChatGPTに入力した情報は、ChatGPTをはじめとしたOpenAI社のサービス改善に使われます。今後のChatGPTの学習データとして使われる場合もあることに留意してください。機密情報や個人情報が学習データとして使われることは、憂慮すべき事態です。
就業規則や会社間の契約に違反するおそれがあるため、以下のいずれかに該当する情報はChatGPTに入力しないようにしましょう。
ChatGPTは、回答の作成に使った情報は公開されません。根拠が示されないまま、回答だけが得られることに注目してください。
このことは論文や研究結果の発表など、文章作成において根拠が求められるケースで問題となります。根拠の無い主張は説得力が弱くなることは、おもな理由の一つです。このようなケースでは、ChatGPTで得た回答を使えない場合があることに注意してください。
ChatGPTは世界で広く使われるようにするため、さまざまな取り組みが行われています。ここでは、4つの取り組みを解説します。ChatGPTを業務に活かすヒントにしてください。
ChatGPTは優れたサービスですが、「簡単な四則演算」の項目で解説したように完全無欠ではありません。ChatGPTの欠点を補う、またはより良く活用する目的で、機能を拡張できるプラグインが続々とリリースされています。高度な計算を行える「Wolfram」はその一例です。そのほかにも情報収集や文章の要約、グラフの作成やデータ分析など、目的に応じて適切なプラグインを選べます。
どのようなプラグインが使えるかわからない場合でも、心配はいりません。「Pluginpedia」プラグインを使えば、あなたの目的に適したプラグインを見つけることが可能です。
なおプラグインは、有料プランでのみ使えることに注意してください。
すでにリリース済みの業務アプリやサービスと、ChatGPTを連携する取り組みも広く行われています。プラグインとの相違点を、以下に示しました。
業務アプリやサービスはChatGPTと連携することで、より便利で魅力的な機能を提供できます。業種や業務に特化したサービスとの連携が多い一方で、Slackと連携した「ChatGPT app for Slack」も実用化されています。
ChatGPTを活用した適切なプラグインやサービスが見当たらない場合でも、あきらめる必要はありません。有料プランをお使いの場合は「GPTs」を活用して、カスタムアプリを作成できます。ノーコードで作成できるため、エンジニアでない方でもコードを書く必要はなく、手軽に作れる点は魅力的です。
「GPTs」で作成したアプリは自ら、あるいは社内での使用はもちろん、世間に広く公開して使ってもらうことも可能です。OpenAIは2024年1月10日に、GPTsで作成したアプリを公開できる「GPT Store」を始めました。すでにさまざまなアプリが公開されており、実務で活用できます。
このサービスも、有料プランが対象です。2024年第1四半期には収益化プログラムも始まる予定ですから、将来は自社で開発したアプリをもとに、収益の柱とすることもできるでしょう。
ChatGPTは、単にわからないことを教えてくれるツールではありません。効率的な情報収集や文章の作成などを通して、品質を保ちながらより短い時間で業務を行えます。チャットボットと連携すれば、顧客対応の品質向上を図れるでしょう。ChatGPTの機能を引き出すことで業務効率化や労働環境の改善、顧客満足度の向上を図れるとともに、少ない労力で業績の向上を狙えます。
ChatGPTは、日々改善が続けられています。一方で便利な機能の多くは、有料プランで提供されていることに注意してください。ビジネスでChatGPTを使うなら無料プランにこだわらず、最新の金額をチェックしたうえで有料プランを契約することもおすすめです。