マーケティングとは?基礎から戦略の立て方・トレンドまで初心者にわかりやすく解説

facebook X LINE はてなブックマーク pocket

近年、商品やサービスの差別化が難しい時代となっており、事業の成長にはマーケティングの実践が不可欠です。

しかし、なにから始めればよいのか、どのように進めればよいのかなど、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、マーケティングの基礎から戦略の立て方・トレンドまでを初心者にわかりやすく解説します。マーケティングの基本を押さえて、自社の成長に役立てましょう。

マーケティングとは?基礎から戦略の立て方・トレンドまで初心者にわかりやすく解説

マーケティングとは?

マーケティングの担う役割は時代とともに変化しており、さまざまな定義が存在します。日本マーケティング協会では、1990年と2024年にマーケティングを以下のように定義しています。

年代 定義
1990年 企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。
2024年 顧客や社会とともに価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。

従来のマーケティングは、単に「自社の商品やサービスが売れる仕組みを構築すること」を指していました。

しかし、近年では自社だけでなく、「ステークホルダーの利益も考慮し、長期的に売れ続ける仕組みを構築すること」という考え方に変化しています。

なぜマーケティングが必要なのか

現在、市場は成熟しており、商品やサービスがあふれている時代です。そのため、商品やサービスの差別化が難しく、「商品を置いておくだけ」「サービスを提示するだけ」では、消費者の購買意欲につながりにくくなっています。

また、顧客も多様化しています。例えば、パソコンが登場した当時、顧客はビジネスパーソンが中心でした。

しかし、現在ではビジネスパーソンのみならず、学生や主婦(主夫)など、幅広い層が顧客となっています。

そのため、商品やサービスを売るには、単に認知を高めるだけでなく、「誰に」「どのような売り方をするのか」を考えなければなりません。

このような背景のなかで、長く多くの方に選ばれ続ける仕組みを作るために、マーケティングの必要性が高まっています。

マーケティング戦略の代表的なフレームワーク

マーケティングを行ううえで、戦略を立てることは重要です。以下では、マーケティング戦略を立てる際に活用される代表的なフレームワークをいくつかご紹介します。

3C分析

3C分析とは、市場を顧客(Customer)、競合企業(Competitor)、自社(Company)の3つの視点から分析する手法です。一般的に、顧客、競合企業、自社の順で分析を行います。

顧客分析、競合企業分析、自社分析を行うポイントは以下のとおりです。

分析対象 ポイント
顧客 自社の商品やサービスを購買する意思または能力のある潜在顧客を把握します。具体的には、潜在顧客数や地域構成などの市場規模、ニーズ、市場の成長性などです。
競合企業 自社と競合する企業を把握します。具体的には、各競合企業の情報(名前や社員数など)、戦略、経営資源や構造上の強み・弱みなどに着目します。
自社 定量的・定性的に自社の経営資源や企業活動を把握します。具体的には、自社の業績(売上高や市場シェア、顧客数など)、自社の戦略、経営資源や構造上の強み・弱み、競争優位性などです。

3C分析は、市場ニーズや競合企業の動向を踏まえて成功要因をみつけ出し、自社の強みを最大限に活かすことが特徴です。

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の内部環境(保有する資産やブランド力など)と外部環境(市場や競合など)のプラス要素・マイナス要素から評価する手法です。

まず、自社の事業状況を内部環境のプラス要素である「強み(Strength)」とマイナス要素である「弱み(Weakness)」、外部環境のプラス要素である「機会(Opportunity)」とマイナス要素である「脅威(Threat)」に分けて整理します。

プラス要素 マイナス要素
内部環境 自社の長所や得意なこと(強み) 自社の短所や苦手なこと(弱み)
外部環境 社会や市場の変化などでプラスに働くこと(機会) 社会や市場の変化などでマイナスに働くこと(脅威)

4つの要素を整理した後は、以下のように内部環境と外部環境を組み合わせて戦略を明確にし、分析を行います。

  • 積極化:強み×機会
  • 差別化:強み×脅威
  • 改善:弱み×機会
  • 防衛・撤退:弱み×脅威

例えば、差別化を明確にしたい場合、競合企業の参入や市場規模の縮小などの脅威に対し、自社の強みでどのように切り抜けるかを考えます。

PEST分析

PEST分析は、マクロ環境分析を行うフレームワークで、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの外的要因を分析対象とします。

例えば、政治的要因では法改正や政府の取り組み、社会的要因では消費者行動の変化などが挙げられます。

ビジネスは常に世の中の変化に影響を受けますが、PEST分析によって外的環境の変化が自社の業界におよぼす影響を予測し、中長期的な戦略を立てることが可能です。

4P分析・4C分析(マーケティングミックス)

複数の要素を組み合わせて、ターゲット市場で目的を達成するための戦略を設計する手法は「マーケティングミックス」と呼ばれます。マーケティングミックスを考える際、一般的に4P分析が用いられる傾向があります。

4P分析は、企業(商品やサービスの提供側)からの視点で具体化・最適化するフレームワークです。Product(商品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の4つの要素で構成されます。

一方、4C分析とは、4Pを顧客視点に置き換えたフレームワークです。Customer Value(顧客価値)、Cost(コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の4つの要素から構成されており、顧客のニーズを把握し、差別化を図るために用いられます。

企業視点(4P) 顧客視点(4C)
どんな商品やサービスを提供するか(Product) 顧客にとって価値のあるものか(Customer Value)
いくらで販売するか(Price) 顧客にとって価格と商品やサービスの価値が妥当か(Cost)
どこで販売するか(Place) 顧客にとって販売場所に利便性があるか(Convenience)
どのように販売するか(Promotion) 顧客と双方向でコミュニケーションを取る方法はないか(Communication)

マーケティングを成功させるためのステップ

マーケティングを成功させるためのステップ

マーケティング活動を行う場合は、以下の流れで進めていきます。

  1. 市場調査・分析
  2. セグメンテーション・ターゲティング
  3. ポジショニング
  4. マーケティングミックス
  5. 実施・評価・改善

各内容を詳しく解説します。

1. 市場調査・分析

まずは市場調査と分析を行い、自社の商品やサービスの立ち位置を把握します。ここでの分析は事業の方向性を左右する重要なものとなるため、多角的かつ客観的な視点が大切です。

3C分析やSWOT分析、PEST分析などを用いて、「社会にどのような変化が起こると予想されるか」「変化のなかで顧客がどのように行動するか」などに注視し、自社の強みを活かせる市場機会をみつけましょう。

2. セグメンテーション・ターゲティング

セグメンテーションとは、市場にいる顧客をさまざまな軸で細分化し、グルーピングすることを意味します。顧客の細分化を行う際に用いられる代表的なセグメンテーション変数は以下のとおりです。

  • 地理的変数:地域環境や地域特性などのセグメンテーション
  • 人口動態変数:年齢や性別、家族構成などのセグメンテーション
  • 心理的変数:価値観や趣味などのセグメンテーション
  • 行動変数:利用状況や購買状況などのセグメンテーション

細分化した後は、ターゲティングを行います。各グループの市場規模、競合の有無、自社の強みを活かせるかなどを考慮して対象を絞り込み、自社の商品やサービスが優位性を確保できる市場を選択します。

3. ポジショニング

ポジショニングは、ターゲットとする市場に対して自社の商品やサービスの立ち位置を決定するステップです。競合との違いをアピールする方法や、顧客に選ばれるための手段などを検討します。

このステップでは、競合を明確にし、ターゲットとする顧客に自社の商品やサービスの差別化イメージを植え付け、価値を認識してもらうことが大切です。

4. マーケティングミックス

消費者の購買意欲を促すための具体的な施策を立案するステップです。4P分析や4C分析を活用し、自社の強みを打ち出せる施策を検討しましょう。

施策を検討する際には、ターゲティングとポジショニングの整合性が取れていることが重要です。例えば、「ターゲットとする顧客は○○であるため、このような価格設定を行い、このような広告宣伝を行う」といったように、一貫性が確保されている必要があります。

5. 実施・評価・改善

マーケティング戦略を実施し、評価を行います。マーケティングは、実施して終わりではありません。

戦略設計の段階でKPI(重要業績評価指標)を設定し、目標値に対する到達度合いや施策の効果を定期的に評価することが重要です。定期的に評価することで改善点が見つかり、戦略をブラッシュアップできます。

近年はデジタルマーケティングが主流

マーケティングの手法にはさまざまな種類がありますが、現在の主流はデジタルマーケティングです。

デジタルマーケティングとは、実店舗の販売データに加えて、Webサイト、SNS、モバイルアプリなどのデジタルチャネルから取得したデータを統合的に分析・活用するマーケティングを指します。

デジタルマーケティングは、顧客行動データやトランザクションデータなど、大量のデータをリアルタイムで収集・分析できることが特徴で、従来のアナログ手法では入手できなかった細かな顧客ニーズの分析が可能です。

近年、インターネットやIT技術が発展し、スマホを1人1台持つ時代です。誰もが簡単に情報を入手できるだけでなく、商品の購入やサービスの利用ができる時代であるため、デジタルマーケティングの重要性が高まっています。

デジタルマーケティングでは、「オムニチャネル」が欠かせません。オムニチャネルとは、店舗(リアル)とインターネット(オンライン)をデータ基盤で統合し、顧客がいつでもどのチャネルからでもシームレスにサービスを受けられるようにする方法です。

オムニチャネルに対応するには、仕組みを作るために投資が必要ですが、デジタルマーケティングを行ううえで重要なポイントです。

Webマーケティングとの違い

Webマーケティングは、デジタルマーケティングの一つです。WebサイトやSNSなどの媒体を活用し、自社の商品やサービスの認知拡大や販売促進を行う活動全般がWebマーケティングに含まれます。

最終的にWebサイトに訪問したユーザーの行動データ(直帰率、ページビュー数、コンバージョン率など)を基に、顧客ニーズを分析・改善するマーケティング手法です。

一方、デジタルマーケティングはWebサイトに限らず、アプリやメールなどのデータやオフラインとの連携も含まれます。デジタルマーケティングという大枠のなかにWebマーケティングがあるイメージです。

適切なマーケティングを行い、事業拡大につなげよう

ビジネスを成功させるには、顧客の思考や行動を理解し、適切にニーズを捉えることが重要です。

近年、市場が成熟したことで差別化が難しくなり、顧客ニーズの多様化も進んでいるため、マーケティングは複雑化しています。

マーケティングは企業の成長に欠かせない戦略の一つであるため、自社に適切なマーケティング戦略を立てて、事業拡大につなげましょう。

持木 健太の写真

監修者情報

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役

中小企業診断士

持木 健太(もちき けんた)

DX推進の総責任者として、テレワーク環境構築・ペーパーレス化・電子帳簿保存法対応・ビジネスモデルの再構築などで活躍中。

企業の労働生産性向上や付加価値向上を目指して、中小企業から上場企業まで幅広く対応している。