宿泊業界はコロナ禍期間中の業績悪化で人材の流出が起こりました。業績が回復してきた現在に至っても、そのダメージはいまだ解消しきれていません。慢性的な人材不足の解消と顧客満足度の向上をどのように目指していくかが最大の課題といえます。
そんな宿泊業界にDXを推進することで、どのような変化が起こるのか知りたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。本記事では宿泊業界の課題と、その救世主となり得るDX効果を、実際の事例とあわせて紹介していきます。

インバウンド需要の増加でますます忙しくなる宿泊業界ですが、それにともない、慢性的な人手不足が加速しています。いかに効率よく業務を進め、顧客に満足していただくかが課題となっています。
令和6年雇用動向調査結果の概要によると「宿泊業、飲食サービス業」の入職者数は「卸売業、小売業」についで2番目に多いものの、離職者数も多いことがわかります。
また、令和5年産業別常用労働者1人平均月間現金給与額によると、宿泊業の給与額は他の産業に比べ低く、離職者が多い一因となっているようです。人材が定着しにくいことが慢性的な人手不足を生み出しています。
宿泊業界には紙媒体の宿泊台帳による予約管理や鍵(個別キー)やルームカードでの客室管理、電話予約、口頭での情報伝達など、非効率な業務が残っていることも少なくありません。
情報共有や記録の検索などに時間がかかるうえ、ヒューマンエラーが起こりやすい環境は、従業員の負担を大きくします。従業員への大きな負担は、顧客サービスの低下にもつながりかねません。
日本政府観光局の発表によると2025年6月に日本を訪れた外国人客は337万人で、6月として過去最高を記録しました。6ヶ月の累計数は過去最速のペースで2,000万人を突破しています。
このように日々増加するインバウンドへの対応を宿泊業界は迫られています。インバウンド需要を取り込めば、利益向上だけでなくブランド価値向上にもつながります。
混同されやすいデジタル化とDXですが、この2つの意味は異なります。ここではデジタル化とDXの違いについて見ていきます。
デジタル化とはアナログ状態のものをデジタルに切り替えることを指します。宿泊業界での例を挙げると、紙媒体だった予約管理や宿泊者情報をデジタルデータでの管理に変更するといったことがデジタル化です。
デジタル化したものを含め、サービス形態や業務全体を根本から見直すことで、業務効率を向上することをDX(デジタルトランスフォーメーション)といいます。
予約管理業務をDXするのであれば、次のようなことも可能です。電話予約を自社サイトでのオンライン予約に変更し、予約情報を一元管理することで、24時間予約可能にし、従業員間での情報共有もリアルタイムで行えます。
ここからはDXで解決できる宿泊業界の業務について詳しくみていきましょう。
AIやビッグデータを活用し、近隣で行われるイベントや大型連休など、宿泊需要の増減を過去のデータから分析することで、ダイナミックプライシング(変動料金制)を導入し、収益の最大化を図ることが可能です。
AIを活用したセルフチェックインやリモート接客などを活用することで、深夜の顧客対応やピークタイムの混雑解消などが期待できます。
掃除ロボットを導入することで、フロア清掃に費やしていた時間を、顧客対応に当てることができます。掃除ロボットで対応できないところのみを従業員が清掃を行うことで、人件費や時間の削減も可能です。
オンライン学習が可能な育成プログラムの導入やAIを使った接客訓練、マニュアル動画の活用など、従業員教育に割いていた人員コストや時間を削減できます。また、教育を受ける側も都合の良い時間に、気兼ねなく何度も復習できるでしょう。
インバウンドの増加でさまざまな言語に対応する必要がある場合、ポケトークのようなAI自動翻訳機などを導入することで、海外からの顧客への対応を円滑に行えます。
ポケトークとは、世界85言語の音声またはテキストの翻訳が可能なAI通訳機で、名刺サイズの超小型デバイスです。
互いに相手の言葉を話せなくても、話しかけるだけで隣に通訳がいるかのように対話することができます。
顧客アンケートの分析に生成AIを活用し自動化することで、改善点の洗い出しや、口コミへの対応を迅速に行うことが可能です。PIIマスキング(個人情報保護)に対応しているRakuten AI for Businessなどの分析サービスを利用すれば、顧客の個人情報を匿名化することもできます。
法人のお客様の様々な企業活動を支援する生成AIサービス。
法人向け生成AIチャット機能では、職種別のプロンプトテンプレートや社内のドキュメント連携(RAG)機能など、ビジネス利用に便利な機能を多数実装し、業務の効率化に貢献します。AIに無断でデータを学習されないセキュアな環境の下、使いやすさを重視したUIにより、どなたでも安心してご利用いただけます。
ここまでDXで解決できる業務を示しましたがピンとこない方もいるでしょう。ここからは、宿泊業界のDXの効果を実例で紹介していきます。
ある温泉地の老舗旅館Aでは、団体客から個人客への客層の変化に合わせ大規模なリニューアルを果たしました。DXにより従業員の労働環境改善や生産性向上、顧客サービス向上を図っています。
A旅館は、顧客情報を管理するPMS(宿泊管理システム)やオーダーエントリーシステム、従業員のシフト管理システム、顧客からの問い合わせに対応するチャットボットなど、さまざまなITツールを導入しています。
なかでもPMSは顧客情報の一元管理だけでなく、館内でのサービス利用や物品購入などの情報を取り込み、精算時に合算、請求書や領収書発行から会計ソフトへの転送まで行え、工数削減に大いに役立っています。
また、PMSに登録された情報は、顧客の要望や予定変更など細かな部分までスマートフォンやモニターで従業員全員がいつでも確認でき、履歴として残せるためリピーター(リピートする顧客)への顧客対応もスムーズになりました。
あるビジネスホテルBでは、情報共有のルールが明確化されていませんでした。そのため、情報が正確に伝わりにくく、引き継ぎにも時間がかかっているような状態でした。
そこで、コミュニケーションツールを導入し、搭載されている通知機能を活用することで、指定の相手に速やかにメッセージを届けることができるようになり、連絡のスピードアップにつながりました。
また、グループチャット機能を利用することで、従業員同士で情報のリアルタイム共有が可能になり、履歴として残る情報をマニュアルとしても活用しています。BホテルではDXにより、業務効率の向上が実現しました。
紙ベースの予約台帳を利用していたホテルCでは、予約内容の共有が難しいという課題がありました。紙ベースの予約台帳から手作業で各部署への指示書を表計算ソフトで1週間前から作成していました。
予約会計システムは導入していたものの、前日に手作業で入力しているような状況で、業務に時間がかかるうえに、顧客からの予約や問い合わせがあるたびに、ファイルから情報を探し出すため、顧客対応もスムーズにはいきません。
ホテルCでは、作業工程の見直しとCTIシステム(電話とコンピュータの統合システム)の導入を行いました。紙ベースの予約台帳をなくし、予約受付時に予約会計システムに情報を入力し、各部署への指示書作成を半自動化しました。
またCTIシステムを導入することで、電話がかかってきた時点でデータベースと連動して記録され、システム内のすべての作業状況を個別に記録できるように改善しました。指示書作成にかかる時間が2日間から2時間程度に短縮でき、電話対応の時間も短縮できました。
次のような5つのステップを踏むことで、DXをスムーズに進めていけるはずです。
まず、問題点が何であるかを把握するために、現場の声を丁寧に聞き取ることが大切です。従業員がどのようなことに困っているのか、優先すべき課題が何であるのかをしっかりと検討しましょう。
DXには、システム、セキュリティ対策、従業員教育などさまざまなコストがかかります。やみくもに導入するのではなく、費用対効果を見極め、DXで何をどのように改善していくのか目標を設定しましょう。
システムの選定で一番大切な点は、現場で使用する従業員にとっての使いやすさです。従業員が直感的に使えるシステムであれば、操作に関する従業員教育の手間も省けます。
また、既存のシステムなどと連携できるか、将来的に機能を追加できるかといった拡張性についても確認しておきましょう。もちろん導入コストやランニングコストも重要な条件です。必要な機能と導入費用やランニングコストが見合うかどうかも比較検討を行ってください。
導入前後のサポート体制も確認しておきましょう。楽天モバイル法人向けサービスが提供するホテルDXパッケージは現場に寄り添ったソリューションで、サポート体制も整っています。
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DXをはかることで、これまでとは作業工程が大幅に変更になることも考えられます。新しいシステム導入後に業務に滞りが出ないよう、事前準備が必要です。
システム運用ルールの策定と周知徹底、操作方法の説明、トラブルがあった場合に対応できる人材の確保など、事前の準備をしましょう。
システムの運用後に、課題が改善されているかチェックすることも必要です。従業員の負担軽減や顧客の満足度アップにつながっているか、コスト削減が進んでいるかなどをチェックし、問題点があれば改善策を講じていきましょう。
人手不足解消と顧客満足度の向上が求められる宿泊業界において、DXは不可欠といえるでしょう。
従業員による手厚いおもてなしのためには、DXを図れる部分と人が担うべき部分を明確にしたうえで、業務効率化を進めて従業員の負担を軽減し、時間と心に余裕をつくることが重要となります。
その第一歩として、宿泊業界のDXを一括サポートできる楽天モバイル法人向けサービスのホテルDXパッケージがあります。課題に合わせた最適なソリューションを試して、ぜひその効果を体験してみてください。
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