パケットロスとは、データ通信において送信されたパケット(データ)が目的地に到達せずに失われることです。業務効率の低下やオンライン会議におけるコミュニケーションの阻害といった問題が生じるため、その原因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
本記事では、パケットロスの原因と改善方法を解説。通信品質を向上させ、ビジネス効率を最大化するための具体的な対策を紹介します。
インターネットで通信を行う際には、送信するデータを「パケット」という単位に分割して送信します。パケットロスとは、データ通信中に送信されたパケットが目的地に到達せず失われる現象です。この問題は、オンライン会議の音声や映像の途切れ、Webページの読み込み遅延など、ビジネスに深刻な影響を与える可能性があります。
パケットロスが頻繁に起きるようになると、顧客とのコミュニケーションが円滑に行えない、業務システムのパフォーマンスが低下するなど、業務効率や顧客満足度に悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、重要な会議で映像が途切れ途切れになると、参加者にストレスを与えるだけでなく、重要な情報を取りこぼす危険があります。また、意思疎通が円滑に行えないことで、誤解や情報伝達ミスが発生するリスクも高まります。
クラウドサービスの利用時にデータの送受信が遅延すると、業務の効率が低下し、従業員の生産性が損なわれる可能性があります。特に、リアルタイムでのデータ処理が求められる業務では、パケットロスが発生すると業務の進行が大幅に遅れるおそれがあります。
オンラインサービスの遅延は、顧客満足度にも影響します。「たかがパケットロス」と軽く見ていると、結果的に無視できないほどの大きな影響を及ぼす可能性があります。
パケットロスが発生したかどうかを判断するための指標の一つにパケットロス率があります。これは送信パケット数と受信パケット数を使用して、どれだけのパケットが損失したのかを示す指標です。以下の計算式で算出できます。
パケットロス率(%)=((送信パケット数-受信パケット数)÷送信パケット数)×100
手作業で計算しなくても、「pingコマンド」を使用してパケットロス率を確認できます。
また、ネットワーク速度測定サービスのなかには、パケットロスを測定する機能を提供しているものもあります。無料で使用できるサービスも数多くあるため、使いやすいものを探してみるとよいでしょう。
通信に問題を感じたら、定期的にパケットロス率をチェックし、数値が悪ければ改善を試みることをおすすめします。
国際電気通信連合(ITU)が定めた規格では、パケットロス率の上限は0.1%です。これよりも高いと通信に問題があると考えられます。但しおおむね1%以下であれば、問題なくインターネットを利用できる状態にあり、通信の品質に大きな影響はありません。
しかし、パケットロス率が3%を超えると、通信の快適性が損なわれることが多くなります。さらに10%を超えると、インターネット利用時にストレスを感じるレベルに達し、業務や日常のネット利用に大きな支障をきたす可能性があります。
ネットワークの状態を確認してパケットロスが3%以上であった場合には、原因を特定して対策を行う必要があります。ここでは、パケットロスが発生する主な原因と改善方法を解説します。
有線ネットワークでパケットロスが発生している場合、LANケーブルの不良が考えられます。古いケーブルや損傷したケーブルは、データの送受信に支障をきたし、パケットロスを引き起こすことがあります。この場合、ケーブルを新しいものに交換することで改善が期待できます。
また、LANケーブルは一度設置するとなかなか交換する機会がないため、古い規格をそのまま使用しているケースは珍しくありません。LANケーブルにはカテゴリという規格があり、回線の通信速度や周波数によって適合するカテゴリが異なります。
【LANケーブルの主な規格】
規格 | 通信速度(最大) | 伝送帯域 |
---|---|---|
CAT.5 | 100 Mbps | 100 MHz |
CAT.5e | 1 Gbps | 100 MHz |
CAT.6 | 1 Gbps | 250 MHz |
CAT.6A | 10 Gbps | 500 MHz |
CAT.7 | 10 Gbps | 600 MHz |
CAT.7A | 10 Gbps | 1000 MHz |
CAT.8 | 40 Gbps | 2000 MHz |
上記の表を見ると、カテゴリごとに通信速度が異なることがわかります。またCAT5eとCAT6では同じ通信速度ですが、伝送帯域は2倍以上の差があります。例えば、1Gbpsの回線を契約している場合、カテゴリ5のケーブルでは期待する通信速度が出ない可能性があります。回線、ルーター、LANケーブルで規格を合わせて使用することが重要です。
パケットロス発生の原因としてLANケーブルの問題が疑われた場合は、社内のケーブルが劣化していないか、また適切なカテゴリのケーブルを使用しているかを確認してください。カテゴリ名は、LANケーブルに印字されています。
ルーターをはじめとしたネットワーク機器でも規格が古いことでパケットロスが発生することがあります。ルーターには、LANケーブルを差し込むLANポートと呼ばれる部分があり、規格が定められています。
【有線LANポートの主な規格】
規格 | 対応速度 | 対応するLANケーブル |
---|---|---|
1000BASE-T | 1Gbps | CAT.5e以降 |
1000BASE-TX | 1Gbps | CAT.6以降 |
10GBASE-T | 10Gbps | CAT.6A以降 |
LANケーブルと同様、契約している回線に合ったネットワーク機器を使用することが重要です。
また、機器の一時的な不具合によってパケットロスが発生する場合があります。この場合は、ルーターを再起動することで問題が改善する可能性があります。パケットロス発生の原因としてルーターの問題が疑われた場合は、以下を試すことをおすすめします。
社内でネットワークを利用している人数が多く、通信回線が混雑している場合もパケットロスが発生する可能性があります。夕方になると通信が途切れるなど特定の時間帯にパケットロスが発生する場合は、この可能性が高いと考えられます。ネットワークの負荷を軽減するため、ルーターに接続している端末の数を制限したり、混雑する時間帯を避けたりすることで、パケットロスが改善されます。
業務を行う中では、その対応が難しいこともあります。そのため、Wi-Fiよりも安定している有線LANに切り替える対策や、帯域保障、帯域確保などのより良い回線サービスに切り替えることを検討するのがよいでしょう。
パケットロスの原因は複数ありますが、通信回線に問題がある場合は、安定した回線に切り替えるのが効果的です。法人向けの回線サービスは多くありますが、コストを抑えつつ高品質な回線を求めるなら、楽天モバイルの「KŌSOKU Access」がおすすめです。
KŌSOKU Accessには以下の特徴があります。
また、楽天モバイルではベストエフォート型のStandardプランに加えて、帯域確保型のPremiumプランを提供しているのがポイントです。帯域確保とは、契約プランに応じて通信帯域があらかじめ確保されるサービスです。コストを抑えながら安定した速度で通信を利用できる、費用対効果が高いサービスです。
安定した回線契約に切り替えることで、パケットロスの発生防止に役立ちます。
法人向けの超高速インターネット接続サービス。
幅広いエリアで高速通信を実現しながらも、低価格でのご提供を可能にしました。お客様の拠点から最寄りの通信局へ専用の光ファイバーを敷設するため、混雑する時間帯でもスムーズにご利用いただけます。
現代のビジネス環境において、インターネット接続の品質は非常に重要です。特に、オンライン会議やクラウドでのサービス提供などが増えるなかで、通信の安定性は業務の効率や顧客満足度に直結します。
パケットロスは通信中に一部のパケットが消失してしまうことでWebページの読み込み遅延やオンライン会議の途切れなどさまざまな問題を引き起こします。最良の対策は、パケットロスが発生しないように事前にネットワークの状態を把握して最適化しておくことです。またパケットロスが生じてしまった場合には、適切な対策を講じて影響を最小限に抑えることが重要です。
通信回線が原因でパケットロスが発生する場合は、楽天モバイルの超高速インターネット接続サービス「KŌSOKU Access」のような帯域確保型のサービスを選ぶと確実です。パケットロスの問題を適切に管理し、快適なネットワーク環境を維持することで、ビジネスの効率と信頼性を高めることができます。