オフィスの移転や新設の際、「社内ネットワークが遅い」「ネットワークがつながらない」といったトラブルが起こることがあります。
こうしたトラブルは、十分な事前調査と適切な計画・構築により防ぐことが可能です。
この記事ではオフィスの移転や新設にあたり、社内ネットワーク構築における課題や事前に把握しておきたい項目、構築のポイントを解説します。
オフィスを移転する、あるいは新しいオフィスの利用を開始した後、社内ネットワークに関する課題やトラブルが発生する場合があります。起こり得る項目を解説します。
最大速度だけに注目して回線を選ぶと、「移転や新設を機に、今までのオフィスより速い回線を選んだつもりなのに、通信速度が下がってしまった。」といったトラブルに遭遇する可能性があります。最大速度が速い回線でも、利用時の速度が遅いと従業員の生産性を下げてしまいます。ベストエフォート型(最大速度が提示されているものの、速度の保証はされていないタイプ)の回線を選ぶ場合は、特に注意が必要です。
回線がつながらず通信ができない、または頻繁に途切れて仕事に支障が出るというケースも、代表的なトラブルに挙げられます。このトラブルは、「オンライン会議が途切れる」「資料がダウンロードできない」といったような事態に繋がる可能性があります。
さらに、移転や新設したオフィスから外部につながらない、あるいはつながっても回線速度が遅く、頻繁に切断されるという事象は、クラウドアプリケーションの活用、ビジネスチャットやEメールの送受信ができなくなるため、直ちに業務の支障が出ます。
オフィスの移転や新設後のネットワークは、スムーズに使えるようにしたいものです。ここからは、社内ネットワークの構築や提供に必要な6つの項目を紹介します。
インターネットと法人の施設を接続する通信回線は、以下の3種類に分かれます。
回線の種類 | 特徴 |
---|---|
ベストエフォート型 | 最大速度は規定されているものの、速度の下限は規定されていない。実際の速度は利用者数や通信量によって大きく変わる。帯域保証型や帯域確保型よりも低料金 |
帯域確保型 | 通信事業者が通信に使う帯域を、確保しているサービス。可能な限り一定以上の通信速度を保つよう取り組まれるが、実際の通信速度が事前に定めた下限値を下回る可能性がある。 |
帯域保証型 | 契約により、通信事業者が帯域の下限を指定する通信サービス。通信速度の最小値が保証されている |
帯域保証型や帯域確保型は、あらかじめ取り決めた通信速度を守る取り組みが行われます。一方でベストエフォート型は、通信速度が下がったからといって積極的な対策が行われるとは限らないことに注意が必要です。
契約するインターネット回線やプロバイダーについて、回線に加えてプロバイダーの契約が必要か、契約期間や解約の条件といった項目の確認も必要です。
オフィスを移転する場合は、現在の契約内容も確認する必要があります。移転の手続きを行えば済むのか、いったん解約する必要があるか、解約金は必要かという点も、早めにチェックしておきましょう。
入居する建物にどのようなネットワークが設置されているかを、事前に知ることも重要です。屋外の配線と建物内の配線がどこで、どの機器を経由して接続されているかという点は、代表的な項目です。ビルに入居する場合は、MDF室が境界となるケースが多いでしょう。
ビルの通信設備や配線が光回線に対応しない場合は、いくら高速の回線を契約してもスピードが出ないおそれがあります。ビルに設置された通信設備、フロアや居室への配線の種類や規格もチェックしておきましょう。
オフィスを移転する際、インターネットの固定IPアドレスが変更される可能性があります。該当する場合は、影響を受ける機器(VPN機器、リモートアクセス端末など)をリストアップし、早期に対応方法や変更手順を検討する必要があります。あわせて、新しい固定IPアドレスの取得手続きを進めましょう。
拠点との間に社内専用のネットワークを設ける場合は、適切な方法を選ぶ必要があります。インターネットにつながない「専用線」や「IP-VPN(閉域VPN)」、インターネット回線を利用する「インターネットVPN」などがあります。それぞれの特徴を把握したうえで必要性を検討し、敷設する回線を決めましょう。
ネットワークのスムーズな活用には、LANの選択も重要です。有線LAN・無線LANそれぞれに規格があり、最大速度も異なることに注意してください。
ルーターやスイッチなどのネットワーク機器に加えて、有線LANの場合はLANケーブルについて、求める速度に対応するかチェックしましょう。もし1つでも求める速度に対応していないと、その機器がボトルネックとなり、ネットワークの速度が下がってしまいます。
オフィスの移転や新設後、スムーズに社内ネットワークを稼働させるために押さえておきたいポイントを説明します。
円滑な通信が必要であったり、リアルタイムでの通信が求められて遅延が許されなかったりするような業務では、回線の速度や通信の安定性が求められます。そのため、速度の保証はされていないベストエフォート型の回線はおすすめできません。コストはかかりますが、一定以上のスピードが出る帯域保証型や帯域確保型のサービスを選びましょう。
LANの構築も、重要な検討項目の一つです。LANケーブルを使用する「有線LAN」と、物理的な配線でつながない「無線LAN」の2つの構築方法があります。
LANの種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
有線LAN | LANの速度が安定しやすく、盗聴もされにくい | LANケーブルの配線が必要で、機器の設置場所に制約が生じる可能性がある。LANケーブルの損傷により、通信できなくなるおそれがある |
無線LAN | 物理的な配線は不要。設定を行えば、すぐに利用できる。従業員の増減にも対応しやすい | 通信の安定性は有線LANに劣る。つながりにくくなる場合がある。設置場所により、オフィスの外に電波が届く可能性がある |
事業を円滑に進めるためには、十分な数のIPアドレスも必要です。サーバーやWebカメラ、プリンタなどの機器、またVPNの構築には、固定IPアドレスを使わなければなりません。
加えて、従業員がインターネットにアクセスする台数の見積もりも必要です。社内から社外への通信には、固定IPアドレスまたは動的IPアドレスが必要です。動的IPアドレスを採用する場合、同時にインターネットへ接続できる台数は、契約中の動的IPアドレスの数が上限となることに注意してください。
拠点間の通信方法も、考慮が必要な項目の一つです。オフィス移転の場合は移転先のネットワークに合わせて設定を調整し、問題なく通信できるか確認する必要があります。
オフィスを新設する場合は、通信方法の検討と適切な選択が必要です。すでに他の拠点がある場合は、他拠点と同じ方法でネットワークを敷設できるか検討するとよいでしょう。初めて拠点を設置する場合は、専用線やVPNなどの種類、また通信回線の速度といった観点から、適切な回線を選ぶ必要があります。
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移転や新設するオフィスでスムーズに業務を始めるためには、適切な回線の選択が重要です。移転元・移転先・新設される建物のネットワークを正確に把握したうえで、業務の要求に合った回線を選び、構築しましょう。
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