法人携帯の経費はどう仕訳する?科目ごとの仕訳方法を徹底解説

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法人携帯は「法人携帯の費用は経費にできる!経費を節約する4つの方法も紹介」記事で解説したとおり、経費で処理できます。

一方でどのように仕訳すれば良いか、関心のある経理担当者も多いでしょう。

法人携帯の経費は、支出内容に適した勘定科目を選ぶ必要があります。どのように仕訳すれば良いか、項目ごとに詳しく解説しますのでぜひご確認ください。
法人携帯の経費はどう仕訳する?科目ごとの仕訳方法を徹底解説

法人携帯の経費計上に使う科目

法人携帯の経費計上に使う科目

法人携帯の経費計上には、さまざまな科目が使われます。代表的な科目を、以下の表にまとめました。


科目名 代表的な経費の例
通信費 月額費用、通話料金、SMSでの通信費、郵送料
消耗品費 充電器やUSBケーブル、モバイルバッテリーなどの周辺機器
一括償却資産 端末の購入費用を一括償却資産で計上する場合
工具器具備品 端末を固定資産で計上する場合
減価償却費 固定資産を減価償却する際の費用
修繕費 修理費用
賃借料 端末をレンタルした場合の利用料金
支払手数料 解約時の手数料
雑損失 解約時などの違約金
交通費 購入や手続き等に要した交通費

上記の経費を計上する際には、以下の科目もよく使われます。


科目名 代表的な経費の例
仮払消費税 課税商品を購入した場合に、借方に計上する。税抜方式で経理を行う場合に使う
現金 店頭など現金で支払った場合に、貸方に計上する
普通預金 請求書払いなど銀行口座を介して支払った場合に、貸方に計上する
未払金 すでに購入済みのもので、支払いが終わっていない分の金額

個人事業主の場合は家事按分が必要

個人事業主のなかには、同じ端末を仕事とプライベートで兼用する方がいるかもしれません。該当する場合は、仕事で使った分のみ経費に計上できます。事前に家事按分を行い、仕事で使う割合を確認しておきましょう。

法人携帯を経費で計上する仕訳を科目ごとに紹介

法人携帯を経費で計上する仕訳を科目ごとに紹介

法人携帯をどのように仕訳するかは、科目により異なります。科目や支出項目ごとに、どのような仕訳を登録すればよいか確認していきましょう。

なおこの記事では特記ない限り、税抜経理を採用するものとします。また支払方法は特記ない限り、請求書を受け取って法人の銀行口座から支払うものとします。

月額費用や電話代、SMSの通信費用

毎月発生する月額費用や通話料金、SMSで通信した費用は、「通信費」で計上します。以下の例を考えてみましょう。

  • Rakuten最強プラン ビジネス「音声+データ無制限プラン」1回線(税抜2,980円、税込3,278円)
  • 通話料金(税抜420円、税込462円)
  • SMS通信料(税抜300円、税込330円)

上記は、すべて「通信費」にまとめられます。請求書を受け取った際の仕訳は、以下のとおりです。


借方 貸方
通信費 3,700円
仮払消費税 370円
未払金 4,070円

後日銀行口座から引き落とされる際に、以下の仕訳を行います。


借方 貸方
未払金 4,070円 普通預金 4,070円

契約事務手数料

契約事務手数料は固定資産「電気通信施設利用権」に計上することが原則ですが、10万円未満の場合は損金にできます。回線当たりの契約事務手数料が10万円を超えるケースはなかなか無いため、結果的に契約事務手数料は「通信費」として計上可能です。

Rakuten最強プラン ビジネス」の契約事務手数料は、3,000円(税込3,300円)です。1回線を契約した場合の仕訳を、以下に示しました。


借方 貸方
通信費 3,000円
仮払消費税 300円
未払金 3,300円

後日銀行口座から引き落とされる際に、以下の仕訳を行う必要があります。


借方 貸方
未払金 3,300円 普通預金 3,300円

解約に関する費用

携帯電話会社によっては解約する際に、解約手数料や違約金などの費用が請求される場合もあります。解約手数料は「支払手数料」として課税対象となる一方、中途解約の違約金は消費税不課税であり「雑損失」の科目で計上します。

現在利用中の携帯電話会社が、解約時に1,000円(税込1,100円)の解約手数料と、10,000円の違約金を請求するケースを考えてみましょう。手続き時の仕訳は、以下のとおりです。


借方 貸方
支払手数料 1,000円
仮払消費税 100円
雑損失 10,000円
未払金 11,100円

後日銀行口座から引き落とされる際に、以下の仕訳を行ってください。


借方 貸方
未払金 11,100円 普通預金 11,100円

端末を購入した場合

端末を購入した場合の科目は、1台当たりの価格や支払方法によって決まります。5つのケースに分けて、仕訳の方法を解説します。

1台当たり10万円未満の場合

1台当たり10万円未満の場合は、科目「消耗品費」を使い、購入した年度の費用として全額計上できます。8万円(税込88,000円)のスマートフォンを1台購入した場合の仕訳を、以下の表でご確認ください。


借方 貸方
消耗品費 80,000円
仮払消費税 8,000円
未払金 88,000円

後日銀行口座から引き落とされる際に、以下の仕訳を行う必要があります。


借方 貸方
未払金 88,000円 普通預金 88,000円

1台当たり10万円以上20万円未満の場合

1台当たり10万円以上20万円未満の法人携帯を仕訳する方法は、3つあります。

  • 1. 通常の減価償却を行う
  • 2. 3年間で償却する「一括償却資産」として計上する
  • 3. 少額減価償却資産の特例の適用を受けて、購入した年度の費用として全額計上する

1番の方法は「1台当たり30万円以上の場合」、3番の方法は次の「1台当たり20万円以上30万円未満の場合」をご参照ください。ここでは18万円(税込198,000円)で購入したスマートフォンを、一括償却する仕訳を解説します。購入時と銀行引き落とし時の仕訳は、以下のとおりです。


借方 貸方
一括償却資産 180,000円
仮払消費税 18,000円
仮払金 198,000円
仮払金 198,000円 普通預金 198,000円

決算時には3年間にわたり、以下の仕訳を行ってください。


借方 貸方
減価償却費 60,000円 一括償却資産 60,000円

1台当たり20万円以上30万円未満の場合

青色申告を行っている従業員500名以下の中小企業は「少額減価償却資産の特例」を活用して、社用携帯の購入費用をその年にすべて計上できます。上限は年度ごとに300万円です。この方法は、「1台当たり10万円以上20万円未満の場合」に該当するケースでも使えます。

ここでは20万円(税込22万円)のスマートフォンを購入したケースを例に、購入時の仕訳を確認していきましょう。


借方 貸方
工具器具備品 200,000円
仮払消費税 20,000円
未払金 220,000円

後日銀行口座から引き落とされる際に、以下の仕訳を行ってください。


借方 貸方
未払金 220,000円 普通預金 220,000円

決算時にスマートフォンの購入額を、一括して償却します。


借方 貸方
減価償却費 200,000円 工具器具備品 200,000円

少額減価償却資産の特例を選ばず、本則どおり原価償却する方法も選べます。この場合は次の「1台当たり30万円以上の場合」をご参照ください。なお中小企業の定義は、国税庁「No.5432 措置法上の中小法人及び中小企業者」にあります。

1台当たり30万円以上の場合

1台当たり30万円以上の携帯電話は、本則に従って減価償却を行い、複数年にわたって費用を計上します。減価償却の年数は、以下の2通りの解釈があります。あらかじめ貴社の顧問税理士に相談するとよいでしょう。

  • 電話機とみなした場合は、10年
  • 携帯型のパソコンとみなした場合は、4年

また減価償却の方法は、以下の2通りから選べます。

  • 毎年同じ金額を償却する「定額法」
  • 毎年同じ割合を償却する「定率法」

ここでは30万円(税込33万円)で取得した携帯電話を、定額法を使い10年で減価償却するケースを考えます。購入時の仕訳を、以下に示しました。


借方 貸方
工具器具備品 300,000円
仮払消費税 30,000円
未払金 330,000円

後日銀行口座から引き落とされる際の仕訳は、以下のとおりです。


借方 貸方
未払金 330,000円 普通預金 330,000円

決算時には以下のとおり、毎年3万円ずつ減価償却します。最終年の減価償却費は、1円少なくなります。


借方 貸方
減価償却費 30,000円 工具器具備品 30,000円

分割払いで支払う場合

分割払いを選んだ場合は、法人携帯の費用を数カ月にわたって支払います。この場合は支払いが済んでいない金額を科目「未払金」で計上し、購入費用を月々支払うたびに未払金を取り崩します。

ここでは8万円(税込88,000円)のスマートフォンを、20回払いで購入したケースを考えてみましょう。購入時の仕訳を、以下に示しました。


借方 貸方
消耗品費 80,000円
仮払消費税 8,000円
未払金 88,000円

月々の支払額は、4,400円となります。これを完済まで、毎月仕訳します。


借方 貸方
未払金 4,400円 普通預金 4,400円

なお分割払いで金利がかかる場合は、別途計上が必要です。

端末をレンタルした場合

近年では、スマートフォンのレンタルサービスも登場しています。このサービスを使用してスマートフォンを借りた場合、料金は「賃借料」という科目を使って仕訳します。月額9,900円(税込)のスマートフォンを借りた場合、請求書が発行された時点での仕訳は以下のとおりです。


借方 貸方
賃借料 9,000円
仮払消費税 900円
未払金 9,900円

後日銀行口座から引き落とされる際の仕訳は、以下のとおりです。


借方 貸方
未払金 9,900円 普通預金 9,900円

充電器やUSBケーブル、ケースやフィルムなどを購入した場合

法人携帯を使う際には、以下のように携帯電話本体以外にも必要な機器があります。

  • 充電器
  • USBケーブル

また状況によっては、以下の物品を購入するケースもあるかもしれません。

  • SDカード
  • ケース
  • 画面に貼付する保護フィルム
  • モバイルバッテリー

業務に必要なものは、科目「消耗品費」で仕訳します。ここでは100円(税込110円)のUSBケーブルを従業員が購入し、購入費を現金で渡したケースを考えてみましょう。


借方 貸方
消耗品費 100円
仮払消費税 10円
現金 110円

修理費用

スマートフォンの修理費用は、「修繕費」で計上できます。ここでは画面の修理に3,700円(税込)かかり、店頭で修理費用を現金で支払った場合の仕訳を示しました。


借方 貸方
修繕費 3,364円
仮払消費税 336円
現金 3,700円

なお修繕費の代わりに、「通信費」や「消耗品費」で計上することも可能です。

手続きに要した郵送費や送料、交通費

スマートフォンの手続きを店頭で行う場合は、交通費がかかります。郵便で書類をやり取りするなら郵送費が必要です。またスマートフォンを他の拠点に送る場合は、送料を要します。これらは、以下の科目に計上できます。

  • 郵送費や送料は「通信費」
  • 交通費は「交通費」または「旅費交通費」

スマートフォン1台を送った場合(送料1,120円、税込)で、送料を現金で払った場合の仕訳を以下に示しました。


借方 貸方
通信費 1,019円
仮払消費税 101円
現金 1,120円

また店頭まで出向く交通費が片道220円(税込・現金で支払い)かかった場合の仕訳は、以下のとおりです。


借方 貸方
交通費 400円
仮払消費税 40円
現金 440円

なおスマートフォンを販売する目的で送った場合、送料や梱包に使う資材は「荷造運賃」や「荷造発送費」の科目を使います。

発生した費用の詳細を把握して適切な仕訳を実施しよう

発生した費用の詳細を把握して適切な仕訳を実施しよう

法人携帯に関する費用は、具体的な内容によって勘定科目が異なります。発生した費用の詳細を把握したうえで、適切な仕訳を行いましょう。

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