メタバースを支える技術とは?メリット・デメリットも解説

期待されるメタバースは、さまざまな技術で構成されています。貴社でメタバースの導入を成功させるためには、技術要件のクリアも必要です。

この記事ではメタバースを支える、8つの技術を紹介します。どのような要件を満たせばよいか、この記事で詳しく確認していきましょう。あわせてメタバースのメリット・デメリットも解説しますので、より良いシステム構築やサービスの提供にお役立てください。
メタバースを支える技術とは?メリット・デメリットも解説

メタバースを支える8つの技術

メタバースを支える8つの技術

メタバースには入力・画面表示・内部処理など、多岐にわたる技術が活用されています。ここでは、代表的な8つの技術を紹介します。それぞれの技術がメタバースの実現にどのような形で役立っているかご確認ください。

3Dコンテンツを作成する技術

メタバースは3D空間に、アバターなどのアニメーションを配置して動かす技術です。プログラミングやシステム開発はもちろん、3次元のオブジェクトを作る「3Dモデリング」に関する技術も求められます。

これらの開発には「ゲームエンジン」と呼ばれる、3Dコンテンツに対応したプラットフォームが用いられます。グラフィックス描画やサウンドなど、メタバースに求められる機能を搭載していることが特徴です。代表的なゲームエンジンには、UnityやUnreal Engineが挙げられます。またメタバースの開発には、C#やC++、Swift、Kotlin、JavaScriptなどのプログラミング言語が使われます。

AI(人工知能)

AI(人工知能)も、メタバースの活用には欠かせません。人間が発する言葉や動作への対応は、すべてプログラミングできません。一方でどのような発話や動作にも、メタバースでは適切な対応を行う必要があります。

このような要求に、AIは役立ちます。状況にあわせて、柔軟な応答ができることはAIの強みです。加えてユーザーに対して、より良い体験を提供できることも見逃せません。

5Gや光回線などの高速通信回線

メタバースでの世界をスムーズに楽しむためには、高速・低遅延の通信回線も欠かせません。2024年の時点では、有線の「光回線」や無線の「5G」を活用できます。光回線の速度は最大10Gbpsです。また5Gは下り最大20Gbps、上り最大10Gbpsに加えて、超低遅延の特長も備えています。

もっとも通信速度や品質は、回線により異なります。速くて低遅延の回線を選んで使うことをおすすめします。またルーターが高速通信に対応していないとボトルネックになるため、ルーターのスペックも忘れずにチェックしておきましょう。

5Gについては、「 5Gとはなにか?4Gとの違いと概要についてまとめて解説 」記事で解説していますのでぜひご覧ください。

エッジコンピューティング

快適なメタバースの活用には、処理速度の向上も重要です。エッジコンピューティングはサーバーを分散配置して、ユーザーの近くで処理を行う技術です。処理の集中や通信回線の距離による遅延を防ぎ、リアルタイムに近い動作の実現に役立ちます。

エッジコンピューティング

XR(クロスリアリティ)は現実と離れた、または現実世界でつくりにくい状況を体験するうえで欠かせない技術です。XRは大きく、以下の3つに分かれます。


XRの種類 日本語 概要
VR 仮想現実 現実世界と別に、仮想の世界を提供する技術
AR 拡張現実 現実世界に、仮想の世界での情報を重ねる技術
MR 複合現実 現実世界と仮想の世界を融合する技術

ユーザーに没入感を与えられることも、特徴に挙げられます。現実と異なる世界を提供したい場合はVR、現実をもとにした世界や画面を提供したい場合はARやMRが使われるでしょう。

メタバース空間を五感で体験できるデバイス

メタバースでつくられた空間を実感する、あるいはどっぷりと浸るためには、五感で体験できるデバイスの活用も欠かせません。代表的な機器を、以下に挙げました。

  • VRゴーグル
  • VR対応ヘッドマウントディスプレイ
  • ARグラス

VR対応ヘッドマウントディスプレイには、3DoF(スリードフ)と6DoF(シックスドフ)の2種類があります。3DoFは頭の動きを感知する製品で、映像を360度ぐるっと見ることをメインに使われます。一方で6DoFは3DoFに加えて、体の動きも検知できます。前後・左右・上下とも認識し画面に反映できるため、まるで自分自身がメタバース内で移動しているような感覚を味わえるでしょう。

IoT(モノのインターネット)

メタバースで使われるデバイスは、インターネットに接続している必要があります。動作を逐一検知して、システムと連携しなければなりません。またシステムから伝えられる情報を、VRゴーグルなどのディスプレイに表示させる必要があります。

ここで使われる技術が、IoT(モノのインターネット)です。動きをシステムに伝えるとともに、システムから送られる命令を受け取って求められる動作や映像での表示を行います。IoTもメタバースの活用に重要な技術です。詳しくは「 IoT技術の基本の仕組みをわかりやすく解説 」記事をご参照ください。

NFT(非代替性トークン)

メタバースで稼ぎたい、モノのやり取りをしたいという場合は、NFT(非代替性トークン)の活用も欠かせない技術です。NFTはブロックチェーン技術を活用して、デジタルコンテンツに対し以下の項目を証明します。

  • デジタルコンテンツが唯一のものである
  • デジタルコンテンツの所有者を証明する
  • 偽造されていない(真正のものである)

これにより、デジタルコンテンツに価値をつけられます。値段がつくため資産となり、メタバースで稼ぐ、取引を行うことが可能となります。

メタバースを活用するメリットとデメリットには何があるか?

メタバースを活用するメリットとデメリットには何があるか?

ほかの先進的な技術と同様に、メタバースにもメリットとデメリットがあります。メリットを活かしながらデメリットをできるだけ下げる使い方を行うことで、良い結果を得やすくなるでしょう。

ここでは代表的なメリットとデメリット・注意点を紹介します。メタバースのより良い活用にお役立てください。

メタバースの活用で期待できるメリット

メタバースを貴社のビジネスに活用することで、以下のメリットが期待できます。

  • コミュニケーションが取りやすくなり、業務の円滑な遂行につながる
  • 臨場感を得られるため、遠隔地に住む方に対して満足度の高いセミナーやイベントを提供できる
  • 現実世界では実現が難しい演出も可能
  • 障がい者などハンディキャップを抱えている方も実力を発揮でき、社業の発展に貢献できる

工夫しだいで新たな顧客の獲得、従業員や顧客満足度の向上を実現でき、業績アップにつなげることが可能です。

メタバースのデメリットや注意すべきポイント

メタバースは、良いことばかりではありません。貴社の事業に活用する際には以下のデメリットや注意点を把握し、対策を取ることが重要です。

  • 開発費用がかかる。ランニングコストが多額となる可能性もある
  • 機密情報や個人情報が流出しないよう、セキュリティに注意を払う必要がある
  • メタバースに関する法整備が追い付いていない
  • UIの良くないサービスを選ぶと、利用者の負担や不満が増す

メタバースを活用したサービスを提供する際には起こり得る問題をリストアップしたうえで、適切な対策を取ることが求められます。特に個人情報や機密情報が社外に流出すると、多額の損害をこうむるおそれがあることに注意が必要です。

またメタバースは、従業員が使いやすいと感じることも重要です。デザインの良さやUIの使いやすさも重視して、サービスを選びましょう。

技術的な要件をクリアし、ユーザーに選ばれるサービスの提供を

技術的な要件をクリアし、ユーザーに選ばれるサービスの提供を

メタバースは、クリアすべき技術的な要件が多くあります。いずれも、ユーザーが快適にメタバースで楽しむために欠かせない要件です。

良いサービスの提供には、コストをかけることが必要です。技術的な要件をもれなくクリアして、ユーザーに選ばれるサービスの提供を目指しましょう。