クラウドPBXを活用する場合は、仕組みやメリットを知っておくと適切な選定や有効活用に役立ちます。どのようなものか、内容を確認していきましょう。
クラウドPBXは、電話交換機の機能をクラウド上に持つことが特徴です。オフィスの電話機で電話をかけると、インターネットを介してクラウド上の電話交換機につながり、貴社の電話番号で発信します。外部からの電話も、クラウド上の電話交換機を経由して着信します。内線を使った会話も、クラウド上の電話交換機を介して行われます。
法人はクラウドPBXの運営事業者と契約することで、これらの機能を使えます。PBXについて詳しく知りたい方は、「 PBXとはなにか?便利な機能やクラウドPBXのメリットをご紹介 」記事をご参照ください。
クラウドPBXを使う場合は、さまざまな端末を電話機として使えます。一例を以下に挙げました。
クラウドPBXに配線が必要な場合は、LANケーブルを使います。モジュラーケーブルでつなぐ電話機やFAXは使えないことに注意が必要です。
クラウドPBXの活用により、以下のメリットが得られます。
詳細は「 PBXとはなにか?便利な機能やクラウドPBXのメリットをご紹介 」記事で解説していますので、あわせてご参照ください。
クラウドPBXは、ビジネスに役立つ5つの機能を備えています。それぞれの機能を確認し、貴社の事業運営に役立つことをお確かめください。
スマートフォンを内線の電話機として使えることは、クラウドPBXを使う代表的なメリットです。以下のような使い方も可能となります。
フレキシブルな電話対応が可能となるため、取引先や顧客の要望や問い合わせにもスピーディーに対応できるでしょう。折り返し電話する手間を省けることも、メリットの一つです。またオフィスに常駐する従業員がいなくても電話対応を行えるため、ビジネスチャンスを逃しません。
クラウドPBXならではのメリットには、遠隔地どうしの拠点も内線で通話できることが挙げられます。そもそもクラウドPBXの場合、どこから接続しても契約するクラウドPBX事業者の機器につながることが理由です。このため拠点や従業員がいる場所に関わらず、通話料金無しで内線を使えます。
拠点間の通話料金をどう削減するか、お悩みの法人様も多いのではないでしょうか。クラウドPBXはこの課題を解決するソリューションの一つです。
クラウドPBXは内線電話や電話の転送以外にも、一般的な電話で使われる機能に対応しています。一例を以下に挙げました。
このうち電話帳は、クラウド上に電話番号を保存することが特徴です。ログインさえできれば、どこでも電話番号を確認できることは強みといえるでしょう。
クラウドPBXは自動でメッセージを流す機能や、自動で電話応対を行える機能を備えています。単にメッセージを流せばよいなら、「音声ガイダンス」機能を活用できます。営業時間外や休日に電話がかかってきたときも、営業日の営業時間内にかけ直すよう通知できるので便利です。
クラウドPBXを使えば、自動で電話応対を行いながら適切な部署に振り分ける「自動音声応答(IVR)機能」も使えます。従業員は、内容をヒアリングして適切な部署に転送する手間を省けます。また顧客は自動音声を聞く時間が長くなるものの、担当者につながればスピーディーに対応してもらえるメリットが得られます。
クラウドPBXなら、設定変更もWebで簡単に行えます。専用のサイトにログインすれば、内線の設定や外線の発信・着信の設定、保留音の設定や通話ログの確認などを行えます。必要になったタイミングで速やかに操作できることも、うれしい機能の一つです。
クラウドPBXの音質はサービスの運営会社により、またお使いのインターネット回線によって変わります。なかには音声が聞こえにくい、内容を聞き取りにくい、頻繁に途切れるといったケースもあるかもしれません。携帯電話がつながりにくい場所で使う場合は仕方ありませんが、このような状況がいつも続くようではビジネスに支障が生じます。
このためクラウドPBXを選ぶ際にはデモやトライアルを活用し、事前に音声の品質をチェックするとよいでしょう。
クラウドPBXのコストは、運営会社により異なります。初期費用は数万円から数十万円、月額費用は1ユーザー当たり1,000円~3,000円程度が目安です。なかには、1ユーザー当たり数百円程度の月額費用で済むクラウドPBXもあります。サービス内容が貴社にマッチすれば、お得になるでしょう。
このほか、外線を使って通話した場合は通話料金もかかります。発信先が固定電話の場合は3分当たり税込8.8円、携帯電話の場合は1分当たり税込16円から18円が目安です。
PBXにはクラウドPBXのほかにも、IP-PBXやレガシーPBXがあります。通話という用途に絞れば、固定電話も比較対象となります。どのような違いがあるか、順に確認していきましょう。「 PBXとはなにか?便利な機能やクラウドPBXのメリットをご紹介 」記事もあわせてご確認ください。
クラウドPBXとIP-PBXは、電話交換機に相当するものが社内にあるかという点が異なります。IP-PBXの場合、社内に電話交換機そのもの、または電話交換機に相当するサーバーが存在します。専用のソフトウェアをサーバーにインストールすることで、電話交換機に相当する機能を持たせられるためです。一方でクラウドPBXを採用した場合、PBXは社外に設置されます。
クラウドPBXとレガシーPBXは、大きな違いがあります。レガシーPBXは、社内に電話交換機の設置が不可欠です。加えて、設置した箇所の電話機しか内線化できません。
一方でインターネットにつながないため、セキュリティに関するリスクは低い方法です。停電しても通話できることに、メリットを感じる方もいるでしょう。
固定電話との違いも、押さえておきたいポイントです。クラウドPBXは、離れた場所でも貴社の電話番号で発信や着信ができます。複数の拠点で使えることも強みです。
一方で固定電話は、停電時でも使えます。クラウドPBXでは110番や119番など、発信できない番号がいくつかありますが、固定電話ならどの番号にもかけられます。
クラウドPBXは、ビジネスのさまざまな場面で活かせます。ここからは代表的な4つのケースを取り上げます。クラウドPBXがどのように役立つかご確認ください。
クラウドPBXには「さまざまな機器を電話機として使える」「従業員が自席にいなくても電話で会話できる」というメリットがあります。この特長を活かし、受付に電話機やタブレット端末を設置して訪問者への対応をスムーズに行えます。スマートフォンの内線化を済ませておけば受付からの電話にどこでも出られますから、訪問者が来る時間にあわせて自席で待機する必要はありません。
従業員がどこにいても内線で通話できることは、クラウドPBXの強みです。通話料金を気にせず、仕事に関する会話を納得ゆくまで行えます。意思疎通が行き届かないことに起因するミスやトラブルを防げるでしょう。外線通話も転送できるため、ビジネスをスムーズに進められるメリットも見逃せません。
クラウドPBXのIVR機能を使えば、着信後に自動応答の音声を流し、適切な窓口に振り分けできます。担当部署に振り分ける業務のみ行う人員を置く必要はないため、人件費の削減に寄与します。
もし振り分けの区分や振り分け先の内線番号が変わっても、設定を変えれば済みます。担当者につながればスピーディーな解決が期待できるメリットも見逃せません。
台風や集中豪雨、地震による施設の破壊は、事業運営における大きな脅威です。また感染症の蔓延により出社できない従業員が続出すれば、社内に設置したPBXの管理も難しくなるかもしれません。このような事態に陥っても、従業員どうし、また取引先との連絡手段を確保する必要があります。
クラウドPBXを選べばPBXを社外に設置できるため、災害や感染症により本社や事業所が使えなくなっても電話を使ったやり取りは可能です。PBXの管理を運営会社に任せられるメリットも見逃せません。BCPへの対応という観点でも、クラウドPBXは役立ちます。
クラウドPBXは、さまざまな事業者から提供されています。それぞれのPBXには特徴がありますから、貴社にマッチしたサービスを選ばなければなりません。どのような観点で選べばよいか、7つのポイントを取り上げ解説します。
クラウドPBXに切り替えたのち、貴社で使用中の電話番号を継続利用できるかどうかは大きな関心事です。もし電話番号が変わるようであれば、すべての取引先や顧客に周知しなければなりません。案内文を作成し送付する手間と人件費がかかります。郵送で周知する場合は郵送料の負担も必要となり、大きなコスト増となります。
継続利用できる電話番号の種類は、クラウドPBXの事業者により異なります。思わぬ負担を防ぐためにも、事前に確認しておきましょう。
クラウドPBXを社内に定着させるためには、使いやすさも重要です。クラウドPBX導入後の操作方法が多くの従業員に受け入れられるか、事前に確認しておきましょう。特に音声品質や業務で使う機能のチェックは重要です。加えてどこでも使えることはクラウドPBXの強みですから、このメリットを活かせるサービスを選びましょう。
サービスを選ぶ際には、管理のしやすさという点も見逃せないポイントです。直感的に操作できるサービスを選ぶと、使いやすいでしょう。
クラウドPBXは、インターネットを介して電話するサービスです。知らず知らずのうちに盗聴されていたという事態にならないよう、自社のセキュリティ対策を万全に行っておきましょう。
またクラウド事業者は、以下の点に着目して選びましょう。
クラウドPBXを選ぶ際には、従業員の増加に対応できるかどうか確認しておきましょう。もし従業員の増加に対応できない、または契約数を柔軟に変更できないサービスを選んでしまうと、一時的にせよ電話を使えない従業員が発生してしまいます。これは利便性だけでなく、クラウドPBXの導入効果を大きく下げるため好ましくありません。
従業員のなかには海外出張などの目的で、クラウドPBXを海外で使う場合もあるかもしれません。この場合は、現地の法令に合致したサービスを選びましょう。訪問先の国によってはクラウドPBXを使えない可能性があるため、事前の確認が重要です。
クラウドPBXはレガシーPBXやIP-PBXほどではないものの、まとまった額の初期費用を要します。加えて月々のランニングコストがかかることも見逃せません。利用者数が増えるとコストもアップすることに注意が必要です。
自社の場合はどのくらいの金額になるか、シミュレーションしておきましょう。複数のサービスを比較検討して、価格に見合ったサービスを選ぶことをおすすめします。
多くの法人では、どこかのタイミングで契約中のサービスを解約するタイミングが訪れます。他社への乗り換えや、新しいテクノロジーを活用したサービスの活用は代表的な理由です。
クラウドPBXによっては、解約できるタイミングに制限がある、違約金の支払いが発生するといった条件が課されるかもしれません。「終わり良ければすべて良し」の言葉もあるとおり、新規契約を検討する際には契約を終了するときまで考慮することで、思わぬトラブルを防ぐことが可能です。
「 PBXとはなにか?便利な機能やクラウドPBXのメリットをご紹介 」記事でも、クラウドPBXを使う際のポイントを解説しています。あわせてご参照のうえ、貴社に合ったサービスの選定にお役立てください。
クラウドPBXの活用により、コストを抑えながらスムーズなやり取りに役立つ機能を使えます。従業員どうしのコミュニケーションが密になること、顧客の信頼が増すことは、いずれも業績のアップにつながります。クラウドPBXは、貴社の業績を上げる後押しとなるでしょう。
搭載する機能や特徴は、運営会社やプランにより異なります。よく比較検討して、貴社に合ったクラウドPBXを選びましょう。特に音声の品質に関する妥協は好ましくありません。デモやトライアル期間を有効に活用して、納得できるまでじっくり比較検討する姿勢が貴社の業績アップにつながります。