eSIM(embedded Subscriber Identity Module)は、従来のSIMカードとは異なる特徴を持つ通信技術です。本記事では、eSIMの基本やSIMカードとの違い、メリット・デメリットを解説します。
eSIMと従来の物理SIMカードの主な違いは、その「形態」と「利用方法」にあります。物理SIMカードは端末に差し込んで使用しますが、eSIMは端末内部に電子的に組み込まれており、カードの挿入が不要です。
eSIMでは通信プランをオンラインで選択・変更でき、SIMカードの入れ替えや端末の再起動といった作業が不要になります。プラン変更の柔軟性が高く、より簡便に利用できる点が大きな特徴です。これまでスマホの契約時にはSIMカードの発行・挿入作業が必要でした。物理SIMカードには以下の情報が格納されています。
一方、eSIMではこれらの情報を端末内部に直接保存するため、SIMカードの発行やセット作業を省略でき、Web上での開通手続きのみで利用を開始できます。
eSIMを使うには、いくつかの準備が必要です。まず、安定したWi-Fi®環境と、通信事業者から提供されるeSIMプロファイル(QRコードなど)を用意します。設定方法は機種によって異なります。以下は一般的な流れです。
iPhone:「設定」→「モバイル通信」→「モバイル通信プランを追加」
Android™:「設定」→「ネットワークとインターネット」→「SIM」
なお、「QRコードが読み込めない」「プロファイルが無効」といったトラブルも多いため、事前に手順を確認しておくと安心です。
eSIMはすべてのスマホで使えるわけではありません。iPhoneではXR以降、AndroidではGoogle PixelシリーズやGalaxyの一部モデルが対応しています。機種によってはeSIMに対応していても、キャリアによっては利用できないケースもあるため、確認が必要です。
主要メーカーごとにeSIMの対応可否を一覧表にまとめます。機種変更や契約を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
メーカー | モデル名 | eSIM対応 |
---|---|---|
Rakuten Mobile | Rakuten BIG / BIG s / Hand / Hand 5G / Rakuten Mini | ○ |
Apple | iPhone XR 以降(XS / XS Max / 11~16シリーズ、SE 第2世代以降) | ○ |
Pixel 3 以降(※3a除く) | ○ | |
Samsung | Galaxy A23 / A54 / A55 / S20~S25 シリーズ(Ultra含む)、Z Flip / Z Foldシリーズ | ○(一部モデル) |
Sony | Xperia 10 III Lite / 10 IV / 10 V / 10 VI、Xperia 1 IV / 1 V / 1 VI / 1 VII、Xperia 5 IV / 5 V | ○(一部モデル) |
SHARP | AQUOS sense6~9、AQUOS R7 / R8 / R8s / R8 pro / R9 /R9 pro / R10、AQUOS wish 2~5など | ○(一部モデル) |
OPPO | OPPO Reno9 A、OPPO Find X3 Pro など | ○(一部モデル) |
Xiaomi | Xiaomi 13 / 13T Pro、Redmi Note 13 Pro+ 5Gなど | ○(一部モデル) |
FCNT | arrows N F-51C など | ○ |
楽天モバイルでのeSIM対応製品は「eSIMだから実現する 簡単・手軽な申し込みスタイル」ページの「eSIM対応製品」をご確認ください。
eSIMの活用には、8つのメリットがあります。それぞれの項目について、どのようなメリットがあるか詳しく解説します。
eSIMの大きなメリットの1つは、開通手続きがスムーズな点です。eSIMを購入済み、かつeSIM対応のスマホをお持ちの場合は、お申し込みから開通までの手続きをWebで完結させることも可能です。都合のよいタイミングで迅速に使い始められるため、Webでの契約が容易になります。
eSIMは契約手続き完了後すぐに通信サービスを利用できます。開通が迅速なため、緊急時や旅行先などで急に通信が必要になった際にも、eSIMを利用して迅速に通信プランをアクティベート(認証処理)できます。
一方でSIMカードをWebで申し込む手続きは、eSIMほどスムーズではありません。宅配業者による配送が必要となるため、SIMカードやスマホが到着するまでの日数がかかることは難点です。契約中の通信事業者によっては、MNPを行う場合に回線を利用できない期間が生じる可能性もあります。MNPとは他の通信事業者に乗り換えても、同じ電話番号を使い続けられる仕組みを指します。
仕事に必要とはいえ、従業員に対して1台数万円ものスマホ機器を支給することは、会社にとっては大きな負担です。eSIMを活用できるスマホのなかには、次のような機種もあります。
例えば従業員が持つスマホが上記いずれかに対応していれば、1台でビジネスとプライベートの使い分けが可能です。貴社は回線契約だけを行えばよいため、スマホ機器の費用負担をせずに済むことは大きなメリットに挙げられます。
従業員に複数のデバイスを支給する代わりに、1台のスマホを使って複数の回線を切り替えて使うことができるので、スマホの購入費だけでなくメンテナンスコストを抑えることもできます。また、従業員ごとに最適な通信プランを選択することもできるため、普段電話をよく活用する営業セクションとバックオフィスセクションにおいて、異なるプランを選択できます。
回線を切り替える場合、多くのスマホでは物理的なSIMカードの抜き差しが必要です。その都度電源を切って本体に差し込まれているSIMカードを交換することは、手間がかかるものです。加えて以下の理由により、SIMカードが使えなくなるリスクもあります。
SIMカードを抜き差しする際に、静電気が発生する可能性があります。この影響によりSIMカードに損傷を与えることがあります。eSIMは物理的な取り扱いが不要であるため、静電気による問題は発生しません。
SIMカードは小さなカードなので、うっかり落としたり、挿入や取り出しの際に破損したりする可能性があります。eSIMはデバイス内に組み込まれているため、物理的な破損リスクが低減します。
SIMカードを破損・紛失した場合、データの損失や不正アクセスのリスクが生じることがあります。eSIMの場合、データはデバイス内部に保持されていますので、データの安全性が高まります。
SIMカードが破損した場合、新しいカードを入手し、デバイスを再設定する手間がかかります。eSIMの場合、新しいeSIMプロファイルを簡単にアクティベートでき、急な交換が容易です。
複数のeSIMに対応するスマホならば、この心配はいりません。eSIMの切り替えは、画面上のメニューで設定を切り替えるだけで、新しいeSIMを使えます。破損により使えなくなるリスクから解放されることは、大きなメリットの1つです。
解約やMNPを行った場合、手元にSIMカードが残る場合があります。
物理SIMカードを使用する場合、通信契約を解約する際、通常はキャリアにSIMカードを返却する必要があります。しかし、eSIMを活用する場合、SIMカードが物理的に存在しないため、解約後にSIMカードの返却手続きを心配する必要はありません。
一般的なMNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)プロセスでは、新しいキャリアに切り替える際、新しいSIMカードを受け取り、旧SIMカードを無効化する必要があります。しかし、eSIMを使用する場合、新しいキャリアで契約したeSIMプロファイルをデバイスにアクティベートするだけで済みます。
上記に該当する場合、残ったSIMカードをどうすればよいか悩むかもしれません。
これに対してeSIMでは、将来解約やMNPを行ってもSIMカードは残りません。特にMNPで元の機器をそのまま使い続ける場合、手続き終了後になにもしなくてよいことは大きなメリットとなります。
eSIMはリモートから設定・変更ができます。新しい通信プランやキャリアに切り替える際、SIMカードを差し替える必要がないため、オンラインで設定を変更できます。
eSIMを使用することで、国際ローミング時に現地の通信プランに簡単に切り替えることができます。高額なローミング料金を回避し、海外での通信費用を削減できます。
1つのデバイスで複数の通信回線を使えるため、私用と社用で複数のデバイスを持ち運ぶ必要がありません。デバイスの持ち運びが簡便になり、生活や仕事の便益が向上します。
eSIMは物理SIMカードを不要にし、製造と廃棄に関連する環境への負荷を軽減し、SDGsの取り組みの一環として持続可能性に貢献し、電子デバイスの生産に伴う資源消費を減少させます。
ここまでeSIMのメリットをご紹介しましたが、デメリットが全くないわけではありません。後悔しないためにも、契約前にeSIMのデメリットを知っておくことは重要です。
機種変更などで別の機種を使う場合、SIMカードならばカードの差し替えが可能です。一方で物理的なSIMカードが無いeSIMでは、ひと手間かかります。eSIMの場合は通信事業者に対して、eSIMの再発行の手続きが必要となります。そのうえで、新しいeSIMの設定も行わなければなりません。
eSIMに対応するスマホは、まだ多くありません。非対応の機種では、SIMカードの利用が必須となります。このためeSIMのメリットを活用したい場合は、対応する機種のなかから選ぶ必要があります。その結果、希望する機種を選べないかもしれません。
eSIMの初期設定を自分で行う場合は、Wi-Fi回線への接続が必須です。すでにWi-Fi環境やルータを導入済みであれば、この点はクリアできます。
一方でWi-Fi環境が整っていない場合は、外出して設定しなければなりません。このときパスワード無しで接続できる、またはセキュリティが甘いWi-Fiスポットに接続することはおすすめできません。重要な情報を悪意のある者に傍受され、悪用されるおそれがあるからです。データを守るためには信頼できるWi-Fiスポットを選ぶことが必要ですが、そのためには手間も時間もかかる場合があります。
SIMカードを交換する場合、通常はSIMカードのデータをバックアップしておけば、新しいカードにデータを移行できます。しかし、eSIMの場合データのバックアップと復元が一部のデバイスやキャリアで複雑な場合があります。
総務省は2021年に策定した「eSIMサービスの促進に関するガイドライン」でeSIMサービスを促進する方針を示しました。また総務省の2022年度の調査によると、eSIMはメイン回線4.5%、サブ回線21.8%に利用されており、現在はまだSIMカードが主流といえます。
そこでSIMカード活用するメリットとデメリットも紹介しておきましょう。
SIMカードはスマホの歴史上、長い期間使用されており、国内だけでなく世界中で広く普及しています。ほとんどのスマホとデバイスがSIMカードに対応しており、さまざまなキャリアや国際ローミングに対応しています。
eSIMと比較して互換性が高いのはSIMカードといえます。
新しいスマホに乗り換える際、SIMカードを新しいデバイスに挿入するだけで、簡単に通信サービスを移行できます。eSIMの場合は、プロファイルの移行操作がSIMカードよりも手間がかかる場合があります。
SIMカードを利用する場合、キャリアを比較的容易に切り替えることができます。MNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)制度を活用して、電話番号を保持しながら別のキャリアに移行できます。一方、eSIMはキャリアによって制約のある場合があります。
SIMカードは物理的なカードとして端末に挿入されているため、万が一スマートフォンが水没や故障した場合でも、SIMカードを取り出して別の端末に差し替えることで、すぐに通信サービスを再開できます。物理SIMはこのように、トラブル時の迅速な復旧手段として有効です。
SIMカードは物理的なカードであるため、紛失や損傷のリスクが存在します。とても小さなカードのため、スマホから取り外した後、保管した場所を忘れたり、紛失したりしてしまうリスクがあります。
SIMカードの交換や移行には、キャリアに連絡し、新しいカードを取得するための手続きが必要です。SIMカードを入手するには、店舗へ出向く、または郵送してもらう必要があるため、時間がかかることがあります。
物理SIMカードは端末から容易に取り外せるという特性があり、この点がセキュリティ上のリスクにつながる場合があります。例えば、スマートフォンを紛失・盗難した際に、第三者がSIMカードを抜き取って別の端末に挿入することで、通話やSMSの不正利用、さらには認証コードの受信などに悪用される可能性があります。特に「SIMスワップ」攻撃のように、正規の利用者になりすます手口が存在するため、法人利用においては注意が必要です。物理的に取り外せるという利点は、利便性の一方でセキュリティの弱点にもなり得ます。
デュアルSIMとは、1台のスマホで2つのSIM(物理SIMやeSIM)を使い分けられる機能です。例えば、仕事用とプライベート用の番号を1台で運用できます。
主な方式としては、DSDS(同時待ち受け)やDSDV(VoLTE対応)などがあります。但し、デュアルSIM対応でも「物理+物理」「物理+eSIM」など構成が異なるため、自分の機種がどの方式かを確認することが大切です。
MNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)とはキャリア(通信事業者)を変更する際に、同じ電話番号のまま別の通信事業者に切り替える手続きです。eSIMとSIMカードの両方でMNPを行うことができます。どちらが簡単か比較します。
SIMカードは新しい通信事業者に移行する場合、これまで使っていたSIMカードを破棄もしくは返送し、新しいSIMカードを受け取り、スマホに挿入する必要があります。つまりSIMカードを交換する必要があります。そして挿入後スマホを再起動します。
新しいSIMカードを受け取り、デバイスを再設定するためにいくつかの手続きが必要で、所要時間がかかることがあります。また、古いSIMカードは無効化されます。
eSIMの場合、新しい通信事業者に移行する際、物理的なSIMカードの交換が不要です。代わりに、通信事業者がeSIMをプログラムし、新しい通信プランを提供します。
利用者は通信事業者のWebサイトやアプリを使用して、新しいプランを選択し、eSIMをアクティベート(認証処理)できます。物理的なSIMカードの交換やデバイスの再設定は不要です。
eSIMを使用したMNPのほうが簡単で迅速です。SIMカードを交換する手続きは、デバイスの再設定や再起動が必要で、手間と時間がかかることがあります。
eSIMの場合は利用可能な地域や通信事業者、利用できる端末などに制限があるため、利用できるかどうかは場所やスマホ機種に依存しますが、MNP手続き自体はeSIMのほうが容易です。今後、eSIMの普及率が上がり、煩雑な手続きがさらに簡便になるかもしれません。
スマホの紛失や機種変更の際には、eSIMの再発行が必要になることがあります。再発行は多くの通信事業者でオンライン手続きが可能で、手順も比較的簡単です。
通常は、マイページやアプリから申請し、新しいeSIMプロファイルを取得後、再設定を行います。手続きにかかる時間は数十分~1営業日程度が一般的です。あらかじめ流れを把握しておくことで、スムーズに機種変更や復旧が進められます。
「Rakuten最強プラン ビジネス」はeSIMに対応しており、ニーズに合わせたプランでお使いいただけます。
楽天モバイルの法人向けプラン「Rakuten最強プラン ビジネス」
利用ニーズに合わせて選べる料金プランは月額980円(税込1,078円)~!データSIM専用の「データプラン」も登場。音声+データプランのお客様はRakuten Link Officeアプリで国内通話かけ放題。
Rakuten最強プラン ビジネスなら大量にデータを使う場合でも、お得な料金でコストを下げることが可能です。少量しかデータを使わない場合は低額のプランを選び、さらにランニングコストを下げられます。データ容量を使い切った後も最大200kbpsで通信できますから、データを多く使う事態が急きょ発生した場合でも通信不能となる心配はありません。
プラン名 | データ容量 | 月額料金 | 主な用途 |
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音声 +データ3GBプラン | 3GB (海外1GB) | 1,980円 (税込2,178円) | 通話、アプリでの画像のやり取り、チャット |
音声 +データ5GBプラン | 5GB (海外1.5GB) | 2,380円 (税込2,618円) | 通話、クラウドサービスの利用やファイルのダウンロード |
音声 +データ30GBプラン | 30GB (海外2GB) | 2,780円 (税込3,058円) | 通話、営業先との商談やメール |
音声 +データ無制限プラン | 無制限 (海外2GB) | 2,980円 (税込3,278円) | 通話、長時間のインターネット利用、Webミーティング |
プラン名 | データ容量 | 月額料金 | 主な用途 |
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データ3GB | 3GB | 980円 (税込1,078円) | メール、チャット |
データ7GB | 7GB | 1,480円 (税込1,628円) | 社内外でのデータ通信、タブレットの利用 |
データ30GB | 30GB | 2,380円 (税込2,618円) | モバイルルーターや外出先でのアプリ利用 |
音声通話SIMとデータSIMの詳しい違いが知りたい方は「法人用携帯はどちらがおトク?音声通話SIMとデータSIMの違いを徹底解剖!」をご覧ください。
Rakuten最強プラン ビジネスではeSIM対応機種の取り扱いもあり、スマホとeSIMをセットで契約することが可能です。
さらに、お申し込みをWebで行えるため、24時間いつでもスムーズにお手続きいただけます。月額料金が安価な点も魅力ですので、eSIMの契約を考えている方は、この機会にRakuten最強プラン ビジネスを検討されてみてはいかがでしょうか。