社内ネットワークを最適化するには？手順や方法・ポイントを解説

ネットワーク最適化は継続的な取り組みが重要

社内ネットワークを快適に使い続けるためには、構築後も継続的に改善を重ねる取り組みが重要です。半年や1年ごとに定期的に見直すことが効果的です。人事異動や職場のレイアウトを変えるタイミングでネットワーク最適化を行うと、配線の引き直しや回線契約の変更といった大掛かりな改善も行いやすいでしょう。業務負担の少ないタイミングで最適化を行うことが推奨されます。

楽天モバイルではネットワーク最適化の貴重な情報となる、「ネットワークアセスメント」サービスも提供しています。

現状の課題を丁寧にヒアリングし調査する

ネットワークの適切な改善は、現状の正確な把握から始まります。すでに課題があれば、問題となる内容を丁寧にヒアリングしましょう。そのうえで原因となり得る箇所を見極め、調査を行うことが重要です。

課題が挙がっていなくても、すでに問題が発生している可能性はあります。従業員にアンケートを依頼すると、情報が寄せられるかもしれません。またスループットやパケットの種類、パケットの損失率などの調査により、不具合そのもの、あるいは不具合の予兆を見つけられる場合もあります。

業務の遂行に必要なネットワークの要件を把握する

要求される回線の品質は業務によって異なります。業務の仕様書などをチェックして、業務の遂行に必要なネットワークの要件を把握しておきましょう。

サテライトオフィスや複数の拠点を持つ場合や、リモートワークへの対応を行う場合など、通信を使用する人が多くなるような場合では、通信量も大きくなります。画面越しにオンラインでサポートする業務には、混雑時でもスムーズな操作が求められるため、帯域確保型や帯域保証型の回線を選ぶのが良いでしょう。

適切な目標値を定める

安定で高速のネットワーク回線は重要ですが、費用をいくらでもかけられるわけではありません。このためネットワークの速度や最低速度などの項目に対して、目標値を定めることが重要です。目標値を業務の遂行に支障が無い範囲で設定することで、コストパフォーマンスの良いネットワークを設置できます。

その1：LAN

まず拠点や事業所のネットワークの要である有線LAN・無線LANについて、最適化の方法を確認してください。

有線LANの場合

有線LANを使う場合は、以下の項目をチェックします。

• LANケーブルの種類
• ルーターやハブなど、ネットワーク機器

LANケーブルには、複数の規格があります。例えば楽天モバイル「KŌSOKU Access」をお使いの場合は、最低でも1Gbpsの通信に対応した「カテゴリ5e」もしくは「カテゴリ6」のLANケーブルを使用し、10Gbpsを使用する場合は「カテゴリ6A」のLANケーブルを使用しましょう。 古いLANケーブル（カテゴリ5など）では要件を満たせず、パケット再送や喪失が高まり、結果として速度低下の一因となります。

ネットワーク機器は、利用しているインターネット回線にあわせた性能の製品を選びましょう。LANケーブルやネットワーク機器の速度がインターネット回線の速度を下回る場合は、高速通信に対応する製品に交換する必要があります。

無線LAN（Wi-Fi）の場合

Wi-Fiルーターに代表される無線LANの場合は、以下の方法によりネットワークを最適化できます。

• 無線LAN1台につながる、機器（パソコンなど）の台数を平準化する
• 複数の無線機が同じ周波に集まると混雑になるので別の周波に切り替える
• より新しい無線LANの規格に対応する機器に交換する
• アクセスポイントの場所を検討・検証する

htzは速度が速いが障害物に弱く、2.4htzは障害物に強いが速度は遅いなど特徴があるため、これから無線LAN機器を調達する場合は、ギガビット通信と複数の周波数帯に対応する「Wi-Fi 6（IEEE802.11ax）」以上の機器を選ぶことを推奨します。

その2：拠点間ネットワーク

拠点や事業所が複数ある法人では、「拠点間ネットワーク」の最適化も重要です。主に使われる4つの方法について、最適化の方法を解説します。

専用線の場合

専用線を最適化する際には、以下から適切な方法を取ることになります。

• 通信量を削減する
• 専用線に流すパケットの種類を限定する
• 新たに専用線を敷設する

まずはシステム側で、専用線に流す通信の量やパケットの種類を減らせないかを検討してください。それでも不足する場合は、新たな専用線の敷設を検討することになります。

楽天モバイルが提供する超高速インターネット接続サービス「KŌSOKU Access」は、光ファイバーを拠点に直接つなぐサービスです。帯域確保型のプランも選べますので、専用線に近い使い方が可能です。

IP-VPNの場合

IP-VPNはインターネットを介さず、通信事業者の閉域ネットワークを用いて通信するサービスです。最適化するポイントは、「専用線の場合」をご参照ください。求める速度に達しない場合は、契約内容の変更を要する場合もあります。

IP-VPNのなかには、最低速度を保証しない「ベストエフォート型」の回線もあります。 混雑時の速度低下にお悩みの場合は、帯域確保型や帯域保証型の回線を選ぶことで、業務の遂行に見合う通信速度の確保も可能です。

インターネットVPNの場合

インターネットVPNはIP-VPNと異なり、インターネット回線を使って通信します。コストが低めである一方で、同じ回線を使う他社が大量の通信を行うと、速度低下の事態に直面するかもしれません。ベストエフォート型の回線では、このような不都合が起こりがちです。安定した通信や遅延を防ぐ通信を行いたい場合は、帯域確保型や帯域保証型の回線を選びましょう。

SD-WANの場合

ソフトウェアを使って仮想的なネットワークを作る「SD-WAN」の場合も、物理的な回線の性能を超えた速度は出せません。通信速度などを測定し、使用中の回線が業務に適するかチェックしましょう。調査の結果、回線の速度や性能が業務の要求にこたえられない場合は、回線を変える必要があります。

もっともSD-WANでは、アプリケーションごとに物理的な回線を変えることが可能です。リアルタイム処理を要する重要な回線は専用線、Webでの情報収集にはインターネット回線といった割り当ても行えます。

その3：クラウドの活用

令和の事業活動には、クラウドもよく活用されています。クラウドは「プライベートクラウド」と「パブリッククラウド」に分かれます。それぞれの最適化について解説します。

プライベートクラウドの場合

プライベートクラウドのネットワークを最適化する方法は、端末とサーバーをつなぐ回線や拠点間ネットワークの種類により変わります。お使いのネットワークにあわせて、最適化を進めてください。

拠点が複数ある場合、ネットワーク回線の速度や通信の安定性は拠点ごとに異なる場合も少なくありません。より速く安定してつながりやすい拠点にサーバーを置くことも、最適化の方法に挙げられます。クラウドサービス事業者が用意した環境にサーバー等を設置している場合は、より速く安定した回線やクラウド環境を提供する事業者に乗り換えることも一つの方法です。

パブリッククラウドの場合

インターネット回線を使ってパブリッククラウドに接続する場合、実際の通信速度や通信の安定性は、契約する回線の影響を大きく受けます。「安定した速度を求める」「切れにくい回線が欲しい」場合は、帯域確保型や帯域保証型の回線を選ぶとよいでしょう。楽天モバイルの「KŌSOKU Access」で帯域確保型のプランを選べば、重要な業務も円滑に進められます。

その4：特定の通信を優先させる、または制限する方法

社内ネットワークの最適化は、物理的な回線や回線契約を変えない方法でも行えます。方法の一つに、QoSがあります。QoSは通信の重要度や優先順位に応じて、データを流す順番や量を調整する方法で、ルーターやスイッチなどで調整できます。

帯域保証や帯域制限、優先制御は、QoSを実現する代表的な手法です。

• 帯域保証：重要な通信に対して、帯域の下限値を設定する
• 帯域制限：重要でない通信に対して、帯域の上限値を設定する
• 優先制御：優先度の高い通信のパケットを先に送り出す

重要な通信の種類がわかっている場合は「帯域保証」、相対的に重要性の低い通信の種類がわかっている場合は「帯域制限」が適しています。また通信量や通信の種類が、時間帯や曜日によって大きく変動する場合は、優先制御を選ぶことをオススメします。

その5：ネットワーク最適化とセキュリティ確保のバランス

社内ネットワークを最適化する際には、セキュリティの確保を図ることも重要です。以下の方法を検討のうえ、安定した通信とセキュリティの両立を実現してください。

• ファイアウォールの適切な設定
• IPS（不正侵入防止システム）の導入
• IDS（不正侵入検知システム）の導入