持続化補助金とは?金額や申請方法、注意点を解説

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持続化補助金を申請し受給するためには、細かい要件を満たす必要があります。この記事では持続化補助金の概要や、申請方法などを解説していきます。
持続化補助金とは?金額や申請方法、注意点を解説

持続化補助金とはなにか?

持続化補助金とはなにか?

持続化補助金は、小規模の事業者を支援する補助金です。今後次々と行われる制度の変更に対応し、販路開拓や業務効率化などに必要な経費の一部を補助します。これにより、小規模の事業者における生産性の向上と持続的な発展を後押しします。

持続化補助金は、小規模事業者や一定の要件を満たす特定非営利活動法人(NPO法人)、個人事業主が対象です。常時使用する従業員の数が20人以下(宿泊業や娯楽業を除く商業・サービス業は5人以下)の事業者が対象となります。

持続化補助金は5種類に分かれる

持続化補助金は、5つの類型に分かれます。それぞれの概要を、以下の表にまとめました。

番号 類型 概要
1 通常枠 2番から5番のいずれにもあてはまらない小規模事業者
2 賃金引上げ枠 事業場内の最低賃金を、地域別最低賃金より50円以上高める事業者が対象
3 卒業枠 小規模事業者とならない規模まで従業員数を増やす事業者が対象
4 後継者支援枠 事業承継の予定があり、「アトツギ甲子園」のファイナリストまたは準ファイナリストになった事業者が対象
5 創業枠 過去3年以内に開業し、「特定創業支援等事業」による支援を受けた事業者が対象

持続化補助金は不定期に募集されている

持続化補助金は、不定期に募集されています。

申請書類の締切から採択結果の公表まで、2ヶ月から3ヶ月かかります。採択後に補助事業を実施する期間は3ヶ月から8ヶ月と、募集する回ごとに大きく異なります。 ガイドブックや公募要領をご確認ください。

国内での事業のみ対象となる

持続化補助金は国内の事業者が国内で行う事業のみ対象のため、以下に挙げるすべての要件を満たさなければなりません。

  • 国内に住む個人、または国内に本店を有する法人が行う事業
  • 事業の実態が国内にある
  • 代表者や連絡担当者が国内に在住する(連絡を取れる者が国内にいる)

但し海外市場を開拓する事業は、対象となる可能性があります。 なお応募にあたり、商工会議所や商工会の会員である必要はありません。 

なお、持続化補助金の採択後、応募した事業で他の補助金を受け取ることはできません。

持続化補助金の補助額と対象に含まれる経費

持続化補助金の補助額と対象に含まれる経費

持続化補助金でいくら受け取れるか、どの経費が対象に含まれるかなど、補助金の額と対象の経費について、詳しく解説します。

持続化補助金の対象に含まれる経費 

持続化補助金の対象に含まれる経費は、以下のとおりです。

  • 機械装置等費(中古品の場合は、税抜き50万円未満であること)
  • 広報費
  • ウェブサイト関連費
  • 展示会等出展費 (オンラインによる展示会・商談会等を含む)
  • 旅費(タクシーやグリーン車、ビジネスクラス、レンタカーでの移動は補助対象外)
  • 新商品開発費
  • 資料購入費(取得単価が税込10万円未満であること)
  • 借料
  • 設備処分費(補助対象経費総額の半分以下であること)
  • 委託・外注費

上記のいずれかに該当する経費で、補助金事務局(以下「事務局」と略)から採択者に送られる「補助金交付決定通知書」に記された「交付決定日」以降に行われた発注・契約・支出行為が対象です。なお、ウェブサイト関連費だけで申請することはできません。

持続化補助金の補助額

持続化補助金の補助額は、補助率と上限額により決まります。補助率は3分の2が原則ですげ、類型が「賃金引上げ枠」の場合で赤字事業者が申し込む場合、補助率は4分の3となります。

補助上限額は、類型により変わります。以下の表でご確認ください。

類型 補助上限額
通常枠 50万円
賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠 200万円

このうち「ウェブサイト関連費」で申請できる上限金額は、通常枠で12万5,000円、その他の類型は50万円に限られます。

なお、以下のいずれかの要件に該当し、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者は、「インボイス特例」の対象となり、補助上限額が50万円上乗せされます。

  • 2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で、一度でも免税事業者であったこと
  • 創業が2023年10月1日以降

持続化補助金の申請方法を解説

持続化補助金の申請方法を解説

第16回の公募より、電子申請のみの受付となり、郵送での申請はできなくなりました。

番号 項目
1 公募要領を確認する
2 申請に必要な書類を用意する
3 電子申請システムに経営計画と補助事業計画を入力して、申請内容を印刷する
4 事業を営む地域の商工会議所や商工会に事前連絡のうえ、「事業支援計画書」の発行を依頼し、書類を受け取る
5 事業支援計画書のPDFファイルを、電子申請システムへアップロードする
6 締切の日時までに、必要な書類を揃えて申請する
7 申請結果を待つ(事務局から採択・不採択のどちらかが通知される。採択された場合は、採択通知書と補助金交付決定通知書が送られる)

採択後の手続きは、以下のとおりとなります。補助金を受け取れるタイミングは、事業が終了した後となることに留意ください。

番号 項目
8 申請した事業計画に基づき、事業を進める
9 事業を終えたのち、事務局に実績報告書を提出する
10 事務局から補助金確定通知書が送られるので、精算払請求を送り、補助金の入金を確認する
11 補助事業終了から1年後に、事務局へ「事業効果および賃金引上げ等状況報告」を行う

持続化補助金を使う際の注意点

持続化補助金を使う際の注意点

持続化補助金の押さえておきたい注意点について、解説します。

補助金の用途は指定されている

持続化補助金の用途は、以下の項目や用途に指定されます。

  • 「持続化補助金の対象となる経費」で指定された項目
  • 申請書類に記載した事業に関する用途

支出した物品やサービスが上記のどちらかにあてはまらない場合、補助金は支給されないことに注意してください。

補助金の対象外となる品目がある

企業活動で扱うすべての品目が、持続化補助金の対象になるわけではありません。持続化補助金の対象とならない代表的な品目を、以下に挙げました。

  • 自動車、オートバイ、自転車、船舶
  • キッチンカー、フォークリフト
  • 文房具等
  • パソコン、プリンター、複合機、タブレット端末、パソコン周辺機器
  • 電話機、テレビ、ラジオ
  • 動植物

補助金で取得した物品の売却には制限がある

本体価格50万円以上で取得した物品や資産などは、「処分制限財産」に該当します。代表的な項目を、以下に挙げました。

  • 機械装置
  • 作成したWebサイト
  • 不動産の効用増加(店舗改装など)

処分制限財産は補助金の支払いを受けた後も、一定の期間は廃棄や売却、目的外での使用など、財産の処分が制限されます。処分したい場合は、事前に事務局等の承認を受けなければなりません。また処分により収入を得た場合は、事務局が指定する方法で納付を求められる場合があることに注意してください。

経費の支払いは銀行振込が原則

持続化補助金の対象となる経費の支払いは、銀行振込で行います。以下の方法による支払いは、補助の対象外です。

  • 小切手や手形、相殺による支払い
  • 現金による支払い(1取引につき税抜10万円以下の場合は、補助の対象となる)

但し旅費や現金決済のみの取引の場合は、税抜10万円以上でも認められる場合があります。

以下の要件を満たしている場合、クレジットカードや電子マネーによる支払いが補助の対象となります。

支払方法 要件
クレジットカード 補助事業期間内に引き落としが完了していること
電子マネー 補助金で求められる、一連の経理処理の証拠となる書類を整理・保存して提出できること

補助事業の内容等の変更は事前承認が必要 

持続化補助金の採択後、法人の名称や所在地の変更、連絡担当者など申請時点の内容に変更を加える場合は、事務局に対して以下の届出を行う必要があります。

項目 提出すべき書類 備考
登録事項の変更 登録事項変更届
補助事業計画の変更 変更承認申請書 事務局の事前承認が必要

なお、以下の変更は受け付けられません。

  • 新しい経費区分の追加
  • 業務効率化(生産性向上)の取り組みに関する経費や、設備処分費の増額

申請したからといって、必ず受け取れるとは限らない

持続化補助金は、申請の締め切り後に審査を行い、採択された案件に限り支給されます。さらに、事業の実施後に要件を満たす経費のみ支給されます。このため、申請時点で記載した全額を受け取れるとは限りません。所定の期日までに実績報告書を提出しない場合にも、補助金を受け取ることはできません。

制度を確認し、事業計画の作成や書類の準備を進めよう

制度を確認し、事業計画の作成や書類の準備を進めよう

持続化補助金の申請で必要な書類は複数あり、準備に日数を要します。申請の際は商工会議所や商工会によるチェックもあるため、早めの事業計画の作成や書類の準備がおすすめです。