SaaSサービスは利用すべき?5つの代表例と移行メリット、選定時のポイントを解説

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SaaS(Software as a Service/サース)は、「いつでも、どこでも」「必要な期間だけ、必要な量だけ」機能を利用できるサービス提供形態です。現在のビジネス環境における急速な変化に対応するのに適したサービスとして、導入する企業が増加しています。

これからSaaSを採用しようとしている企業にとっては、SaaSの具体的な活用シーンや、失敗を避けるための選定ポイントは重要な関心事でしょう。この記事では、SaaSの疑問を解消できるよう、SaaSへの移行がもたらすメリットや選定時のポイントなどを紹介します。

SaaSサービスの代表的な活用シーンを5つ紹介

SaaSサービスの代表的な活用シーンを5つ紹介

SaaS(サース)は、サービス事業者が提供するソフトウェアを、インターネット経由で利用できるサービスです。業務効率化などを目的にビジネスのさまざまなシーンで活用されていますが、類似するIaaSやPaaSとの違いがイメージしづらいという方も少なくないでしょう。

そこで、SaaSサービスの代表的な活用シーンを5つ紹介します。

1.オンラインストレージ

オンラインストレージは、インターネット上にファイルやフォルダを保管できるSaaSサービスです。遠隔地にいる相手とも簡単にファイルを共有でき、データの一元管理も容易です。企業が利用するSaaSサービスのなかでもっとも多く、代表的な活用例です。

2.ビジネスチャット

ビジネスチャットは、社内や取引先とのコミュニケーションを円滑に行うためのテキストチャットツールです。リアルタイムで情報やデータのやり取りができ、メールに代わる効率的な情報伝達ツールとして広く利用されています。チャット機能に加え、ビデオ通話やタスク管理機能などを備えた製品もあります。

オンプレミス型の製品も存在しますが、無料版でも高機能な製品や、知名度が高く圧倒的に利用者数が多い製品などが存在することから、現在はSaaS型のビジネスチャットが主流です。

3.Web会議システム

Web会議システムは、PCやモバイルのカメラやマイクを使用して、インターネット回線を通じてビデオ通話ができるサービスです。新型コロナウイルス感染症の影響で対面が制限されたことから一気に普及しました。会議室に集まることなく会議を開催することや、取引先との商談を遠隔で行うことができます。会議だけでなく、ウェビナー用途でもWeb会議システムが広く活用されています。

4.タスク管理

タスク管理ツールは、プロジェクトや業務の進捗状況を一元的に管理するためのツールです。インターネット環境があればどこからでも確認できるため、リモートワークを行っているスタッフの作業状況をマネージャーが管理するのにも役立ちます。

5.CRM/SFA

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客に関連する情報を蓄積するツールです。SFA(Sales Force Automation)は、営業活動に関する情報を蓄積するツールです。これらのツールは、顧客との関係を深め、営業活動を効率化するために用いられます。

SaaSサービスとして利用することで、顧客情報やコンタクト履歴を組織で一元管理しやすくなります。また、営業担当者が外出先で顧客情報を確認することや、訪問履歴を登録することができます。

SaaSの基本が知りたい場合は「SaaSとは?ビジネスで知りたいサービス特徴や導入のメリット・デメリットをわかりやすく解説」記事で紹介していますのでご覧ください。

今回紹介した5つ以外にも、SaaSサービスは、会計システム、グループウェア、MAツールなど、さまざまな分野で利用されています。

オンプレミス型からSaaSサービスへ移行するメリット

オンプレミス型からSaaSサービスへ移行するメリット

オンプレミス型のソフトウェアからSaaSサービスへの移行は、「コスト削減」「業務効率化」「DX推進」という3つのメリットが期待できます。

コスト削減

SaaSサービスへの移行により、コスト削減効果が期待できます。SaaSはサーバー機器やネットワーク機器の購入、設定作業、メンテナンスなどが不要なため、初期費用の抑制だけでなく、長期的には大幅に人件費を抑えられます。

業務効率化

SaaSサービスを活用することで、データの一元管理やリアルタイムでの情報共有が実現します。これにより社員の作業負担を軽減することや、不要な作業をなくすなどの業務効率化が可能になります。人手不足解消にも寄与します。

DX推進

SaaSサービスを導入することで、必然的に紙帳票からデジタルデータへと移行が進みます。これによりペーパーレス化が進み、リモートワークの促進やDX推進にも寄与します。さらにSaaSは、スケールアップ(またはダウン)が容易です。これにより、企業はユーザー数やデータ使用量が増えた場合でも迅速に対応できます。

なお、SaaSサービスへの移行は多くのメリットが期待できる一方、安定したインターネット接続が前提であることや、安全性を担保するためにはセキュリティの強化が求められることなどにも配慮する必要があります。

SaaSを選定する際に確認したい8つのチェックポイント

 SaaSを選定する際に確認したい8つのチェックポイント

自社に適したSaaSサービスを選定するためには、必ず押さえておくべきいくつかのポイントがあります。以下のポイントに気をつけて選ぶとミスマッチを極力回避し、「導入したけれども使いこなせない」という状態を起きにくくします。


項目 チェックするポイント
1.費用 初期費用、月額費用(サブスク型か従量課金か)
2.ユーザー数 利用人数の制限はあるかどうか
3.契約期間 最低契約期間があるか、更新方法
4.機能 自社が必要な機能を備えているか
5.拡張性 カスタマイズが可能かどうか、後から機能を追加できるか
6.既存システムとの連携 現在使用しているシステムからデータ移行ができるか、また使用を停止した場合にデータを取り出せるか
7.サポート体制 手段(対面、電話、メール、チャットなど)、対応時間、日本語対応など
8.セキュリティ対策 適切な対策をしているかどうか、バックアップ体制があるかどうか

また、多くのSaaSサービスでは一定期間無料で使用できるトライアル期間を設けています。実際にサービスを試してみて操作感を確認したり、小規模でテストして業務に支障が生じないかどうかを確認したりするのがおすすめです。

トラブルを生まないために気をつけたいSaaSのセキュリティリスク

トラブルを生まないために気をつけたいSaaSのセキュリティリスク

SaaSは、その利便性から多くのビジネスで活用されています。しかしその一方で、インターネット上にログイン画面が存在することや、機密情報をインターネット上に保存することから、不正アクセスによる情報漏洩などのセキュリティリスクが高まります。

セキュリティリスクを低減し安全に運用するためには、多要素認証やID管理の一元化のほか、セキュリティ製品の導入によるアクセス制御などの対策が有効です。また自宅のPCや私用のスマートフォンからもアクセスできるため、デバイスの管理徹底や、社員に対するセキュリティ教育も欠かせません。

まとめ:自社の競争力を高めるためにSaaSサービス活用は欠かせない

まとめ:自社の競争力を高めるためにSaaSサービス活用は欠かせない

企業が競争力を獲得し、ビジネスで優位に立つためには、SaaSサービスの活用が欠かせません。単なるソフトウェアの代替ではなく、業務効率化やデジタル化を実現する手段としてSaaSを位置づけることで、大きな効果が期待できます。

実際にSaaSサービスを導入する際には、自社のニーズに適したサービスを選定することが重要です。そのためには製品に関する十分な情報収集と、社内業務の的確な把握が求められます。