いま注目のメタバース。仮想空間を活用したビジネスを行える手法を紹介

メタバースはいま注目されている、インターネットを活用した技術の一つです。これまで普及しているサービスとは異なる面がありますから、ビジネスに活かすためにはメタバースを知り、特徴を活かしたサービスの提供が求められます。

この記事ではこれからメタバースを知りたい方、メタバースを使ってサービスを提供したい方を対象に、メタバースの概要と注目される理由、ビジネスへの活用例を取り上げます。
いま注目のメタバース。仮想空間を活用したビジネスを行える手法を紹介

メタバースとはなにか?

メタバースとはなにか?

メタバースは以下の単語を組み合わせた造語であり、インターネットに設けられた3次元の仮想空間で参加者が活動するサービスを指します。

  • meta(超越)
  • universe(世界、宇宙)

メタバースではアバターなどの活用により、自分自身が仮想空間内で過ごしているような没入感のある体験を実現できます。現実ではありえない演出を行えること、また現実と別の世界を設けられることも、メタバースの特徴です。メタバースはゲームやバーチャルライブ、オンライン会議など、さまざまな用途で活用されています。

ユーザーはメタバースで多種多様な行動を行える

参加者は自らの分身となるアバターを介して、仮想空間を自由に動き回ります。他の参加者との会話やイベントへの参加はもちろん、街の散策やペットの飼育、モノの売買もできるようになりました。現実世界と同じように多種多様な行動を取れること、離れた場所にいる方とも気軽にコミュニケーションを取れることは、メタバースの魅力です。

メタバースの歴史

「メタバース」という単語は、1992年に出版されたSF小説「スノウ・クラッシュ」で初めて使われました。これより前の1986年には、メタバースに近い「Habitat」(ハビタット)と呼ばれるサービスが登場し、1990年に「富士通Habitat」としてサービスの提供が開始されました。

2003年には「Second Life」(セカンドライフ)が、メタバースを実現したサービスとして正式に公開されました。自らがアバターの姿となり他者とコミュニケーションが取れるほか、街や家具などもつくることが可能。土地の売買もできるなど、メタバースに必要な機能を備えたサービスです。

その後、XRやNFTといった新しい技術の登場を経て、2021年にFacebookが社名をMetaに変更しました。この年からメタバースも注目され、2024年でも注目されるワードの一つとなっています。

メタバースの市場規模

メタバースの市場規模は、今後急速に拡大すると予測されています。総務省は「 令和5年版 情報通信白書 」で、メタバースに関する日本と世界の市場規模について以下のとおり記しています。


地域 2022年(年度)の市場規模 将来の市場規模の予測
日本 1,825億円(2022年度) 1兆42億円(2026年度の予測)
世界 655.1億ドル(2022年) 9,365.7億ドル(2030年の予測)

メタバースの日本における2026年度の市場規模は、2022年度の約5.5倍。世界における2030年の市場規模は、2022年の約14倍と大きく増加します。

上記の金額は、以下の製品やサービスにかかわる市場規模の合計となっています。

  • メタバースプラットフォーム
  • メタバースに関するコンテンツ
  • インフラ
  • XR機器(VR、AR、MR)

市場規模の拡大スピードを踏まえると、メタバースは今後の成長が期待できる分野といえるでしょう。

メタバースが注目される4つの理由

メタバースが注目される4つの理由

メタバースが注目される背景には、技術的・社会的な理由があります。ここでは主な4つの理由を取り上げ、メタバースがなぜ注目されるようになったのか解説します。

オンラインを使ったコミュニケーションの普及

オンラインを使ったコミュニケーションの普及は、メタバースが注目される主な理由の一つです。この背景には、以下の項目が挙げられます。

  1. Web会議システムなど、離れた場所でも顔を見ながら会議を進めるサービスが普及した
  2. コロナ禍や働き方改革を契機に、非対面でのコミュニケーションが選ばれるようになった
  3. 21世紀初頭から普及したSNSにより、オンラインでコミュニケーションを取る方法が市民の間で使われていた

これらの要因により、社会に「工夫しだいで、オンラインでも十分なコミュニケーションが取れる」と認識され、メタバースの注目につながりました。

動画をスムーズに動かせる技術が進んだ

動画をスムーズに動かせる技術が進んだことも、メタバースが普及する大きな要因の一つです。

  • ハードウェアやソフトウェアの性能が向上
  • 通信速度や通信品質の向上
  • VR、AR、MR技術の進化と普及

技術の向上により緻密できれいな画像をスムーズに動かし、仮想空間でもリアリティのある動きを実現できるようになりました。なかでも5Gは「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」という特徴を備えており、メタバースの普及を後押しする技術の一つです。

メタバースに関する機器を手軽に使える時代の到来

メタバースを楽しめる機器を手軽に使えるようになったことも、注目される理由に挙げられます。高性能のスマートフォンやVRゴーグル、VRに対応したヘッドマウントディスプレイは代表的な機器です。個人でも購入可能な物品でメタバースを楽しめることは、社会で普及する大きな後押しとなりました。加えて、メタバースが一過性のブームでなく社会を動かす技術になった要因にも挙げられます。

仮想空間でのコンテンツも資産価値を持てるようになった

仮想空間はコミュニケーションの機能だけでも楽しめますが、モノの売買に代表される経済活動が行えるとより魅力的です。メタバースでは、NFT(非代替性トークン)と呼ばれる暗号資産を活用できます。NFTによりデータが他と異なる唯一のものという証明や、メタバース内のモノに価値をつけることができ、仮想空間での取引で資産獲得や利益の確保につなげることが可能。世界中の人々と取引できるため、メタバースを活用する魅力が高まります。

メタバースはさまざまなビジネスで活用されている

メタバースはさまざまなビジネスで活用されている

メタバースはイラストやCGが活用されていることから、活用例にはバーチャルオフィスやゲームが連想されがちです。一方でメタバースは、ほかの分野でも広く活用されています。

ここからはメタバースを活用した、2つの事例を紹介します。メタバースが幅広いビジネスに活用できることをご確認ください。

実店舗にいるような満足度の高いショッピング体験を提供

楽天モバイルは2022年7月6日、ノエビアスタジアム神戸において5Gを活用したメタバースの実証実験を行いました。会場内の観戦ルームからメタバース上に設けた店舗にアクセスし、ヴィッセル神戸やイーザッカマニアストアーズのアイテムを購入します。迷ったときは実店舗のように、スタイリストに相談しながらコーディネートを考えることも可能。体験者に対して、満足度の高いショッピング体験を提供しました。

この事例は、「 メタバース×ショッピング!5Gを活用してスタジアム観戦時のお買い物体験をよりリッチに 」記事で解説していますのでぜひご覧ください。

医療職に対する教育もスムーズに進められる

メタバースは、教育にも活用できます。楽天モバイルは2022年5月31日に、メタバースを活用する講義の実証実験を行いました。参加者は国内4つの拠点にいる歯科医師や歯科衛生士で、東京から難度の高い最先端の治療法や希少症例の解説、VRトレーニングなどを行いました。回線は楽天モバイルの5G通信を使用しています。

VRゴーグルの着用と3Dモデル技術を活用した講義を行うことで、参加者に臨場感や没入感のある体験を提供できました。東京から遠い沖縄からの参加者にも高速・スムーズな講義を実施でき、満足度の高い評価を頂いています。詳細は「 メタバース×5G!歯科医療教育においてその有効性を検証 」記事をご参照ください。

メタバースで距離を越え、満足度の高いサービスを提供できる

メタバースで距離を越え、満足度の高いサービスを提供できる

現実ではなかなか見せることが難しい内容を、まるで実物が目の前にあるように説明できる。距離が離れていても、対面でコミュニケーションしているような体験ができる。メタバースなら、このような体験を提供できます。顧客満足度の向上にも役立つでしょう。貴社でもメタバースの活用が有効なサービスがあれば、実現に向けて取り組んでみてはいかがでしょうか。