私物の端末の用途は持ち主によりさまざまです。セキュリティに問題のあるアプリがインストールされていたり、不審なサイトにアクセスする可能性があったりといろいろなセキュリティリスクをはらんでいます。私物の端末の利用にはそういったセキュリティリスクがあることを念頭に置いたうえで、どうすれば安全にBYODを導入できるかを考える必要があるでしょう。
BYODについては、「 BYODとはなにか?導入や運用のポイントとおすすめの方法を紹介 」をあわせてご覧ください。
私物の端末を利用する際に考えられる主なセキュリティリスクは次のようなものがあります。
私物端末なのでプライベートでインターネットを利用することもあります。操作を誤って個人のクラウドに業務情報をアップしてしまい、そこから情報漏洩が起こることも考えられます。ほかにも、USBメモリーやBluetoothの利用に制限をかけるのが難しく、情報の抜き取りなどに対する監視が行き届きません。
私物端末のセキュリティ対策を完全に会社で管理することはできません。私物端末のセキュリティソフトのアップデートを怠っていた場合、メールや不審サイトへのアクセス、信頼性の低いアプリなどからマルウェアに感染することも考えられます。マルウェアはネットワークを介してシステム内に拡散していきます。感染した端末で社内システムにアクセスすることで、社内全体に感染が広がる危険性もあるでしょう。
マルウェアにはさまざまな種類があります。
どのマルウェアも業務に支障をきたすもので、とても危険です。社内システムに感染が広がれば、損害は甚大なものになるでしょう。
私物端末の場合、出社時など持ち歩く機会が多くなります。持ち歩くと置き忘れや盗難などで端末を紛失してしまう可能性も否めません。第三者が簡単に端末を開けないような措置を講じていないと、データの漏洩につながることもあります。
総務省のテレワークセキュリティガイドラインにはセキュリティリスクの具体例が掲載されています。そこから3つの事例を紹介していきます。
正規の無線LANアクセスポイントを装った偽アクセスポイントを設置し、誤って接続した利用者の端末からネットワークへ不正アクセスを試みるという事例が報告されています。外出先で利用するのに便利な公衆無線LANですが、利用者側から正規のものかどうかの確認をするのは困難です。
業務で利用する正規アプリ以外のフリーメールを利用し、添付ファイルを開いたところマルウェアに感染したという事例があります。ウィルス対策ソフトの導入や添付ファイルを不用意に開かないといった認識をしっかりと持つことが必要でしょう。
ホテルの無線LANネットワークが乗っ取られたことにより、無線LANを利用した宿泊客の情報を抜き取るという事例が確認されています。取引会社への出張時など、普段よりも社内での作業に時間制約がある場合、宿泊ホテルなどで業務を行うことも考えられます。ホテル側が提供している無線LANであれば安心という考えは危険といえます。
BYOD導入時はまず利用端末の洗い出しが必須です。誰がどの端末を利用しているのかの管理には端末の一元管理運用を容易に行えるMDM(Mobile Device Management)の導入が欠かせません。
MDMについては、「 MDMとは?ビジネスに不可欠な端末管理について徹底解説! 」をあわせてご覧ください。
MDMの主な機能には次のようなものがあります。
社員が利用している端末のIDやOSのバージョン、セキュリティポリシーの適用状況などの情報を収集、管理が可能です。セキュリティポリシー更新時もそれぞれの端末の設定更新を一括で行えます。
業務に必要なアプリケーションのインストールやファイルの配布を遠隔で一括で行えます。逆にアプリケーションのアンインストールも可能です。また社員が利用しているアプリケーションの種類や利用時間などの把握にも役立ちます。アプリケーションの使用履歴も保存されるものもあり、不正操作の発見につながります。
利用端末の紛失や盗難による情報漏洩を防ぐため、遠隔操作で端末の画面ロックや端末自体をロックするリモートロックを行えます。さらに、遠隔操作でデータを消去するリモートワイプやモバイル端末のパスワード入力を一定回数間違えるとデータを消去するローカルワイプも利用可能です。位置情報を取得する機能も備えています。
また、端末の不正利用を防ぐためにカメラ機能やBluetooth、SDカードの使用などを制限することもできます。
私物端末を利用している場合、前述のMDMの基本機能が社員のプライバシー侵害や行動制限につながってしまう可能性があります。
特に個人スマホを社用として利用する場合には注意が必要です。プライベートな時間にも関わらず、位置情報を取得されたり、アプリケーションの利用状況の情報を収集されたりするのは、社員にとってはプライバシーを侵害されているように感じるでしょう。スマホに関しては社用スマホを支給するなどの配慮が必要になるかもしれません。
不正利用を防ぐための機能制限がプライベート利用にも及ぶとプライベートで必要な機能が使えないといった状況を生み出す可能性もあります。厳格すぎる運用には注意が必要です。
会社が主体となりBYOD運用の明確なルールを設けることでセキュリティリスクを軽減できます。また、MDMのデメリットの解消にもつながってくるでしょう。
具体的なBYODポリシーの構成要素は
などがあります。
BYOD導入の目的や活用方針だけでなく、社員の個人端末の管理をどの程度まで行うのか、管理下に置かれることでどのような影響が出るのかなどを明確にしておきましょう。
BYOD端末でアクセスできる情報の範囲の策定も必要になります。個人端末を厳格に管理するというのは難しいということを念頭に置いておきましょう。業務連絡に使用するツールの指定や機密情報の端末への保存を禁止するなど、個人端末で行える業務範囲を設定することでセキュリティリスクを軽減できます。
業務で利用できる個人端末のスペックを定めておくことも大切です。古い端末は最新OSに対応できません。古いOSではセキュリティ対策が不十分です。最新OSにバージョンアップできない端末は対象外としましょう。
ウィルス対策ソフトをインストールしていない端末の利用はセキュリティリスクを高めてしまいます。会社が求めるセキュリティ要件を満たした対策を必ず施すようルール化しておきましょう。
社員にルール厳守を求めるために、違反時の対応も明文化しておきましょう。違反時の対応でルール違反がどの程度重大なことなのかを推し量ることができます。
社員のセキュリティ意識向上とBYODポリシーの周知徹底のために社員研修を定期的に開催することも必要となります。BYODポリシーを社員がより理解したうえで、運用方法についての意見を募り、改良していくことで、より適切なBYODの運用が可能となります。
法的に回避するためにはBYODポリシーを書面化し社員に誓約させたり、紛失に備え私用スマホへ遠隔ロック機能をつけたり、私用スマホの機種変更などにも規制を入れたりして厳格に運用する必要があります。しかし、手続きの煩雑さや私用スマホへの過度な介入への反発などを考えると現実的ではありません。社員の意識向上を目指すほうが現実的といえます。
私用スマホはパソコンよりもプライバシーに関わる情報が詰まっています。私用スマホを社用として利用するよりも、社用スマホを支給するほうが管理も簡単に行えるでしょう。
社用スマホを支給するなら楽天モバイルの法人向けプラン「 Rakuten最強プラン ビジネス 」がおすすめです。100回線以下ならウェブから申し込めば最短15分 ※1 で利用ができます。法人向け通話・メッセージアプリ「 Rakuten Link Office 」アプリの利用で国内通話やメッセージの送受信だけでなく海外から日本国内の通話も無料 ※2 です。
また、ウェブ管理ツール「 my楽天モバイルOffice 」で契約回線の一括管理も可能です。
楽天モバイルでは、ソリューションも提供しています。MDMも4種類用意されているので、会社にあったものを選択できます。ソリューションの詳細は こちら からご確認ください。
会社によってBYODの運用の仕方は千差万別です。どのような運用が合っているのか探るには手間も時間も必要となります。楽天モバイルなら運用ルールやセキュリティポリシー策定から製品の設定のお手伝いや導入後の改善や管理も手厚くサポートしています。この機会にぜひ、楽天モバイルの法人向けサービスをご検討ください。