スマートシティはどのように実現する?使われる技術を紹介

スマートシティの重要性を把握しつつも、どのようにすれば実現できるか気になる方も多いのではないでしょうか?スマートシティには先進的な技術が多く使われている一方、大規模な事業となるため慎重に進めたいものです。

この記事ではスマートシティをより深く知りたい方に向けて、スマートシティを支える技術や関連する用語との相違点を解説します。
スマートシティはどのように実現する?使われる技術を紹介

スマートシティを支える6つの技術

スマートシティを支える6つの技術

スマートシティは、さまざまな技術の組み合わせで実現されています。ここでは代表的な6つの技術を取り上げ、どのような技術なのか、スマートシティの実現にどう役立つか解説します。

センシング技術

センシング技術ではセンサーを活用します。まちや住民の状況を正しく把握するうえで重要な技術です。一例を以下に挙げました。

  • 車や歩行者など、交通状況を把握するセンサー
  • 川の水位を測る「水位計」
  • 住民の健康をチェックできるセンサー

また自動運転を行う場合は、自身の現在地と目的地への方向を正しく把握したうえで、周りの安全を確認することが欠かせません。この分野でも、センシング技術が活用されています。

AI(人工知能)

スマートシティではさまざまな機器から、時々刻々と変化する状況にあわせたデータが寄せられます。データ量はしばしば膨大となるため、適時適切な対応を取るためにはビッグデータの解析技術が必要です。

この課題を解決する目的で、AI(人工知能)が使われます。AIは寄せられた情報をもとに自動で状況を把握し、アルゴリズムに基づき判断して対応方法を提示します。人間が行うと日数がかかる判断でも、AIなら確度の高い判断を短時間で行えることが魅力です。

IoT

適切なアクションを取るためには、まちで起こっている状況を正しく把握しなければなりません。状況に応じて機器の動作を変える必要もあるため、スマートシティを構成する機器はネットワークでつながっていることも必要です。

「モノのインターネット」と呼ばれるIoTは、機器をインターネットにつなぐ技術です。IoTの活用により状況を正しく知るとともに機器を適切に動作させ、まちの安全と快適さの実現に貢献します。

XR(クロスリアリティ)

XRとは現実の世界とデジタル技術でつくる仮想の世界を組み合わせ、新しい体験ができる技術です。すべて仮想の世界であるVR(仮想現実)は代表的ですが、ほかにも現実と仮想を融合させた「MR(複合現実)」や、現実に仮想を重ねた「AR(拡張現実)」があります。

スマートシティでは、XRを以下のように活用できるでしょう。

  • まちの将来の姿を手軽な方法で知る
  • 災害が発生した際のシミュレーションを行う
  • 建築物の劣化をシミュレーションする

超高速・超低遅延の通信技術

スマートシティでは、リアルタイムでの情報収集や動作が求められます。高速かつ低遅延の通信技術を活用して、情報のやり取りを行わなければなりません。無線で通信する場合はこの点が課題でしたが、5Gは超高速・超低遅延の特長を持っています。まちに機器を設置しやすくなり、スマートシティの実現を後押しすることでしょう。

5Gの特長は、「 注目される5Gの技術!特長と楽天モバイルの取り組みをご紹介 」記事で解説していますのでぜひご確認ください。

クラウド

クラウドも、スマートシティに重要な技術です。スマートシティでは組織内ネットワークの外に設け、インターネットを介してアクセスする機器とデータをやり取りする場合も多いです。もしサーバーが自社にあり、インターネットと自社との回線が細いと、いくら高性能のシステムを作っても処理速度は遅くなってしまいます。ネットワークがボトルネックとなるためです。

この課題は、クラウドの活用により解決できます。クラウドの活用により、高速回線でダイレクトにデータへアクセス可能。迅速な情報収集と機器の制御を助けます。

スマートシティと関連する用語との相違点

スマートシティと関連する用語との相違点

「まちの改革」に関連する用語は、スマートシティ以外にもいくつかあります。ここでは代表的な用語を3つ紹介します。どのような意味を持つ用語か、またスマートシティとの違いをご確認ください。

Society 5.0との相違点

Society 5.0は国により、「持続可能性と強靭性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会」と定義されています。デジタル技術の活用は含まれているものの、まちづくりに限定される用語ではありません。

スマートシティはSociety 5.0を実現する、先行的な社会実装の場として位置づけられています。Society 5.0を実現する重要な手法の一つといえるでしょう。

スーパーシティとの相違点

スマートシティとスーパーシティは、デジタル技術による課題解決を目指す点で共通しています。一方で、対象とする範囲の広さは異なります。スマートシティは、個別分野の課題を解決できれば実現できます。

一方でスーパーシティでは、生活全般にまたがる幅広い領域をカバーしなければなりません。またスーパーシティの構想には住民が参画し、住民目線の施策が実現されることが必要です。スーパーシティはスマートシティを発展させ、未来の社会を実現させる施策です。

デジタル田園都市国家構想との相違点

デジタル田園都市国家構想は、2021年に岸田政権により打ち出されました。国は「デジタル実装を通じて地方が抱える課題を解決し、誰一人取り残されずすべての人がデジタル化のメリットを享受できる心豊かな暮らしを実現する」構想と説明しています。

デジタルでまちの課題を解決する点は、スマートシティと大きな違いはありません。一方でデジタル田園都市国家構想は、地方にフォーカスを当てています。この点は大都市も該当するスマートシティと異なる点です。

技術や事例を把握し、スマートシティの成功につなげよう

技術や事例を把握し、スマートシティの成功につなげよう

スマートシティの実施により、すでにより良いまちの実現につなげた自治体があります。まずは技術や事例、住民や利用者のニーズを把握しながら、まちの将来像を固めましょう。

スマートシティはスーパーシティと異なり、オールラウンドの施策を打つ必要がありません。重要な分野から取り組み、スマートシティの成功につなげましょう。