モバイルデータ通信とはなにか?メリットや上手に使う方法を教えます

日々スマートフォンを使いこなす現代人にとって、モバイルデータ通信は知らず知らずのうちに使っている通信サービスです。一方でどのようなサービスなのか、またどのような特徴やメリットがあるか、よく知らない方も多いのではないでしょうか?Wi-Fiとの違いも、気になる項目です。

この記事ではモバイルデータ通信を取り上げ、特徴やメリット、オフにした場合の影響について解説します。時折遭遇する「モバイルデータ通信が使えない」事態が起こる理由も確認していきましょう。またモバイルデータ通信を上手に使う方法についても解説します。モバイルデータ通信について知りたい方は、ぜひお読みください。
モバイルデータ通信とはなにか?メリットや上手に使う方法を教えます

モバイルデータ通信は携帯電話回線を使う通信

モバイルデータ通信は携帯電話回線を使う通信

モバイルデータ通信は、携帯電話回線を使って行うデータ通信です。昔から携帯電話を使い続けていた方は、同じ意味を持つ「パケット通信」という用語をご存知の方も多いでしょう。本記事では、モバイルデータ通信の特徴と設定に関する項目から解説していきます。

Wi-Fiを使った通信との違い

モバイルデータ通信とWi-Fiは、代表的な無線の通信方法です。どちらでも高速データ通信を行えますが、両者は異なる技術です。

モバイルデータ通信は、携帯電話会社などの基地局とやり取りを行い通信します。4G回線や5G回線は代表的です。4Gと5Gのどちらも使えるスマートフォンやモバイルWi-Fiルーターをお使いの場合、5G対応エリア内なら5G回線に、4G対応エリア内なら4G回線につながります。

一方でWi-Fiは、無線LANの規格です。「Wi-Fi 4」「Wi-Fi 5」「Wi-Fi 6」の名称や、「IEEE 802.11」で始まる規格で定められています。以下の機器やサービスを介して通信する場合は、Wi-Fiが使われます。

  • オフィスや施設に設置された無線LAN
  • モバイルWi-Fiルーター
  • フリーWi-Fiや有料のWi-Fiサービス

なお多くのスマートフォンは、モバイルデータ通信に加えてWi-Fiを使った通信にも対応しています。一方で、両方を同時に使うことはできません。例えばWi-Fiを使った通信中は、モバイルデータ通信を行えません。

あらかじめ契約した容量を超えると通信速度が下がる

モバイルデータ通信は一部の料金プランを除き、契約で毎月使える上限の容量が定められています。容量を超えると通信速度が下がりますが、この際の速度は通信会社やプランにより異なります。速度制限後も1Gbpsで通信できるなら、高画質の画像を閲覧する、動画を視聴する際に不便を生じる程度で済むでしょう。一方で200kbpsまで速度が下がると、多くのWebサイトを閲覧しにくくなるなど大きな影響を受けます。

設定の確認やオン/オフの方法

モバイルデータ通信の設定状況を確認する方法、またオン・オフを切り替える方法は、スマートフォンの種類によって異なります。iPhone、Androidそれぞれについて、確認や切り替えの手順を確認していきましょう。

iPhoneの場合

iPhoneでの確認方法や切り替え方法は、アップル社により公表されています。「設定」を開き「モバイル通信」または「モバイルデータ通信」を選ぶと、モバイルデータ通信の状況を確認できます。ボタンをスライドすることで、オン・オフの切り替えが可能です。

Android TM の場合

Androidでの確認方法や切り替え方法は、Google社により公表されています。スマートフォンの画面を上から下にスワイプすると、「インターネット」ボタンが現れます。このボタンをタップすると、「インターネット」画面が表示されます。法人が契約している携帯電話会社の横にスライド可能なボタンが現れますので、ここでモバイルデータ通信の状況を確認できます。ボタンをスライドすることで、オン・オフの切り替えが可能です。

モバイルデータ通信を使う3つのメリット

モバイルデータ通信を使う3つのメリット

モバイルデータ通信の活用には、3つのメリットがあります。得られるメリットの内容を、順に確認していきましょう。

全国ほとんどの場所でスマートフォンを使った通信ができる

モバイルデータ通信で使われる4Gや5Gの回線は、居住者がいる場所なら全国ほとんどの場所でつながります。スマートフォンは4Gや5G回線でつながりますから、事前に機器を設定する手間はなく、Wi-Fiがつながる場所を探す必要もありません。使いたくなったときにすぐ必要な情報にアクセスできることは、多くの方が重視するメリットの一つです。

発信や着信の制御を行う

電話番号は電話回線1本につき、1つだけ付与されることが原則です。一方でPBXを使った場合は、1本の回線契約で電話番号を部署ごとに持つことが可能です。例えば営業部と開発部、総務部でそれぞれ別々の番号を持てます。営業部から電話を発信すると相手先の電話には営業部の電話番号が表示され、社外から総務部に電話すると総務部の電話機だけ着信音が鳴るといった動作をします。

標準でもセキュリティの高い通信が可能

モバイルデータ通信で使われる回線は、日々通信会社がメンテナンスを行っています。セキュリティも万全な状態で運用しているため、安心して通話・通信を行えます。個々の端末のセキュリティ対策は各自で行う必要がありますが、定期的に配信されるソフトウェアアップデートを行ったうえで基本的なセキュリティ対策を行っていれば、被害に遭う可能性を減らすことが可能です。

5G回線ならWi-Fiよりも高速

5G回線なら、Wi-Fiよりも高速での通信が期待できます。総務省は令和2年度の情報通信白書において、5Gの要求条件が下りで20Gbps程度、上りで10Gbps程度と公表しています。一方でWi-Fiの最大通信速度(理論値)は、最も高速の「Wi-Fi6」「Wi-Fi6E」でも9.6Gbpsです。

どちらも実際の速度は、これより下回る場合も多いでしょう。しかし理論的に出せる最高速度は5Gのほうが高いため、Wi-Fiよりも速い通信が期待できます。

モバイルデータ通信をオフにするとどうなるか?

モバイルデータ通信をオフにするとどうなるか?

モバイルデータ通信は便利ですが、データ容量の消費が気になる方もいるでしょう。「Wi-Fiを使えるから、モバイルデータ通信はオフにしたい」このような方もいるかもしれません。

では、モバイルデータ通信をオフにするとどうなるのでしょうか。メリットとデメリットの両方がありますので、5つの項目に分けて解説します。

意図せずにデータ使用量が増えるリスクを下げられる

モバイルデータ通信をオフにすると、モバイルデータでの通信量は増えません。データ容量が少ないプランを契約する方には、朗報でしょう。意図せずにデータ使用量が増えた結果、不都合なタイミングで速度制限にかかるリスクを避けられます。アプリのバックグラウンド通信は、知らず知らずのうちにデータ通信量を消費する代表的な例です。

Wi-Fiが無い場所ではデータ通信ができなくなる

モバイルデータ通信をオフにした場合、インターネットにつなぐ手段はWi-Fiに限られます。Wi-Fiにもつながらない場所では、データ通信はできません。通信を要するアプリも使えなくなるというわけです。

モバイルWi-Fiルーターをお持ちでなければ、外出先でインターネットにつながるWi-Fiの電波を求めて探し回ることになるかもしれません。接続先のWi-Fiのセキュリティ対策が甘いと、情報漏えいにつながるおそれがあるため注意が必要です。

アプリの通知は遅れる可能性がある

アプリの通知は、遅れる可能性があります。Wi-Fiにも接続していなければインターネットにつながっていない状態ですから、アプリからの通知は届きません。設定状況によってはWi-Fiにつないでいてもプッシュ通知を受信できない、通知が遅れるといった事象が発生する場合があります。

標準の電話機能やSMS、通信が不要の機能は使える

モバイルデータ通信をオフにした場合でも、以下の機能は使えます。

  • 端末に搭載された標準の電話機能
  • SMS
  • 通信をせずに使えるアプリ(電卓、ライトなど)

このためモバイルデータ通信をオフにしたからといって、スマートフォンがまったく使えなくなる事態にはなりません。

モバイルデータ通信がつながらない原因と対処方法

モバイルデータ通信がつながらない原因と対処方法

モバイルデータ通信がつながらないと、不安になりがちです。端末の故障や通信障害など、悪い事態を考えてしまう方も多いでしょう。しかしこのような事態は、頻繁に起こるわけではありません。

モバイルデータ通信がつながらない原因は、数多くあります。設定の見直しや場所の移動で解決できるケースも少なくないため、あせらず対応することが重要です。ここからはモバイルデータ通信がつながらない原因を5つ取り上げ、対処方法とともに解説していきます。

機内モードなど電波のやり取りを制限する設定をしている

端末側で電波のやり取りを制限している場合、モバイルデータ通信はつながりません。代表的な例に、「機内モード」の設定が挙げられます。飛行機に搭乗する、病院内で電波のやり取りをしない設定にしたいなどのケースで使われる機能です。

何らかの理由で機内モードに設定したのち、設定したことを忘れてスマートフォンを使うと「電波がつながらない!」とあせってしまいがちです。一呼吸を置き、機内モードの設定をしていないか確認しましょう。機内モードの解除方法は、端末の取扱説明書などで確認できます。

モバイルデータ通信がオフになっている

「モバイルデータ通信」の設定がオフになっている状態で、モバイルデータ通信は使えません。設定を頻繁に変更している方はもちろん、そうでない方も念のため「モバイルデータ通信」の設定状況をご確認ください。

設定の変更方法は本記事「設定の確認やオン/オフの方法」、または端末の取扱説明書で確認できます。

地下にいる

地上では電波状況が良好でも、地下に下りると電波が届かない。大都市圏でも、このような場所はあります。地下に基地局を設置していない施設の場合、電波が届かない原因は施設側にあるため、利用者側で対応できる方法は限られます。面倒でも地上に出て、電波のつながる場所でスマートフォンを操作するしかありません。

通信が混雑している

基地局には、端末からの通信要求を受け入れる限度があります。大規模イベントが行われる場合は狭いエリアに人が集中するため、通信が混雑しがちです。携帯電話会社はできるだけ通信を確保できるよう努めておりますが、それでもスマートフォンが圏外になるかもしれません。このような状況でも、混雑する箇所を抜けると通信できる場合が多いです。

データ通信が行えない理由には、接続先のサイトにアクセスが集中しているケースもあります。チケットの発売開始時間や報道の影響、災害の発生などは代表的な理由です。他のサイトや他のアプリが正常に使える場合は接続先のサイトが原因の可能性があるため、しばらく待ってから接続してみましょう。

サービスエリア外の地域にいる

携帯電話会社は、自社の電波を使った通信が可能な「サービスエリア」を設けています。サービスエリアの外では、通信が難しくなるでしょう。登山など山間部に入る場合や、太平洋の航路など陸地から離れた箇所を船で移動する場合は、圏外となるケースも多いです。

モバイルデータ通信を上手に使う3つのポイント

モバイルデータ通信を上手に使う3つのポイント

貴社の業務でモバイルデータ通信を活かすためには、3つのポイントを押さえることが重要です。どのようなポイントをチェックすれば上手に使えるか、確認していきましょう。

十分なデータ容量を契約する

あらかじめ業務の遂行に十分なデータ容量を契約することは、重要なポイントの一つです。データ容量を気にせず使えるため、モバイルデータ通信を必要なときに必要な時間だけ使えるでしょう。ビジネスもスムーズに進められます。

セキュリティの確保が求められる通信で優先的に使う

予算の都合でモバイルデータ通信の容量が制限される場合は、セキュリティの確保が求められる通信を優先して使うことをおすすめします。モバイルデータ通信は通信電話会社が提供する回線ですから、セキュリティに配慮されていることが理由です。以下に挙げるやり取りを優先するとよいでしょう。

  • 会員サイトなど、IDやパスワードを入力して操作するサイトやアプリ
  • 決済を伴うサイトやアプリ(クレジットカード番号の入力も含む)
  • 機密情報や個人情報が含まれる通信

一方でWi-Fiのセキュリティレベルは、さまざまです。セキュリティが甘いWi-Fiで上記の情報を扱うと、意図せぬ情報の流出や財産の損害につながるおそれがあります。

モバイルデータ通信の容量を十分に確保し、円滑なビジネスの遂行を

モバイルデータ通信の容量を十分に確保し、円滑なビジネスの遂行を

モバイルデータ通信はスマートフォンをスムーズに活用し、安全な通信を実現するうえで欠かせない機能です。Wi-Fiでは代替できないケースも少なくありません。スマートフォンや通信会社が提供するサービスを十二分に活用してビジネスを円滑に進めるには、モバイルデータ通信の容量を十分に確保することがおすすめです。