5Gは移動通信システムの5世代目という意味で、「5th Generation」の略です。1つ前の世代の「4G」で便利さを感じている方も多いと思いますが、5Gはよりスピーディーかつリアルタイムの通信を実現できる技術です。楽天モバイルでは、2020年9月30日からサービスを開始しました。
5Gとはどのような特徴を持つのでしょうか。3つの観点に分けて解説していきましょう。
5Gは以下に挙げる、3つの特長を備えています。
項目 | 特長 |
---|---|
超高速・大容量 | 最高伝送速度は10Gbps。2時間の映画も3秒でダウンロードできるため、大容量の通信もスピーディーに行える |
超低遅延 | 1ミリ程度に抑えられるため、ロボットなどの精緻な操作もリアルタイムで行える |
多数同時接続 | 部屋に設置された100台程度の機器を同時接続できる |
いずれも、性能の高さを実感できる項目です。
5Gは4Gと比べて、以下の違いがあります。
通信技術 | 5G | 4G |
---|---|---|
伝送速度 | 最高10Gbps | 最高1Gbps |
遅延秒数 | 1ミリ秒程度 | 10ミリ秒程度 |
1平方キロメートル当たりの同時接続数 | 約100万台 | 約10万台 |
5Gは単に性能がアップした通信技術というわけではありません。ロボットの操作や自動運転など新しい分野への活用も可能なため、注目されています。
5Gの回線は、使用する周波数帯により「Sub6」と「ミリ波」に分かれます。それぞれ、以下の用途で使うと性能を発揮できます。
「携帯電話回線なのだから、移動して使うのは当たり前ではないか」と思う方もいるかもしれません。しかし4Gや5Gは通信速度が速くケーブルの接続が不要なことから、固定して使う機器でも使われています。ホームルーターは、代表的な機器の一つです。
Sub6とミリ波の特徴を、以下に挙げました。
5Gの種類 | Sub6 | ミリ波 |
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周波数帯 | 6GHz未満。日本では3.7GHz帯と4.5GHz帯を使用 | 28GHz帯を使用 |
速度 | 4Gよりは速いが、ミリ波よりは低速 | 高速 |
通信範囲 | 4Gよりも狭いが、ミリ波よりも広い範囲をカバーできる。障害物の影響も受けにくい | 狭い。直進性が強いため、障害物の影響も受けやすい |
同時接続数 | ミリ波よりも少ない | 多い |
それぞれには一長一短があります。楽天モバイルでは複数の周波数をバランス良く配置し、エリア拡大と通信速度の向上を両立しています。
高い性能を持つ5Gの通信技術は、さまざまな理由で求められています。主な4つの理由を解説し、5Gのニーズを確認していきましょう。
IoTの活用により、インターネットにつながるデバイスは大幅に増えました。以前はインターネットにつながる機器といえば、パソコンや携帯電話、ルーターなどの通信機器が主体でした。しかしIoTが広く活用される現代では、以下のように幅広い機器や機械がインターネットにつながり、より高い性能を発揮しています。
インターネット接続を要求する機器が増えれば、多くの同時接続数を確保しなければなりません。5Gには、多くの機器との通信をスムーズに行う性能が備わっています。
データ通信量の増大も、5Gが求められる主な理由に挙げられます。経済産業省は、データ通信量が毎年2割から4割増加しているというデータを公表しています。また日本経済新聞が2023年1月6日に報じた内容によると、2025年における世界のデータ量は2022年の2倍となる180ゼタバイトに達するとしています。
現代では動画配信など、大量のデータ通信をさばく必要性も増しています。5Gは技術の進化によるデータ量の増大にも対応可能な通信技術です。
スピードが求められる時代、リアルタイムでの通信は以下のようにさまざまな分野で要求されています。
上記の分野はわずかな遅れにもシビアですから、5Gが持つ「超低遅延」の強みを活かせます。
5Gの持つ特徴はメタバースやVR、MRなど、革新的な技術の実現に不可欠です。超低遅延の通信は遠隔地で起こっている状況をリアルタイムで伝えるために、超高速・大容量の通信は大量の映像や音声を伝えて臨場感を高めるために欠かせません。遠隔地で実施されているスポーツでもその場にいるような雰囲気で応援できることは、5G回線の強みを活かして実現できるものといえるでしょう。
5Gは、すでにさまざまな場面で活用されています。公表されている活用例を、4つの項目に分けて確認していきましょう。
5Gの通信技術は、スマート工場の実現に貢献します。スマート工場とは、自動化とIoT、ARを活用した工場です。製造業務の効率化と安全性の向上、柔軟な生産体制を実現します。
以下の項目は、5Gを活用したスマート工場によるメリットの一例です。
5Gの技術を駆使することで機械化のメリットを引き出し、効率や品質の向上につなげることが可能です。
ドローンは画像情報を送信するため通信量が多くなりがちですから、5Gが持つ「超高速・大容量」「超低遅延」といった特徴が役立ちます。実際に5Gとドローンの組み合わせは、以下のとおりさまざまな場面で活用されています。
人間が入りにくい場所、また人手で行うと多くの時間を要する業務も、5Gとドローンの活用により短時間で確実に行えるようになりました。
xR(クロスリアリティ)も、いま注目されている技術です。現実世界と仮想世界を融合する技術であり、以下に挙げる3つの技術の総称です。
略称 | 日本語 | 内容 |
---|---|---|
VR | 仮想現実 | CGなどで作った現実ではない映像を提供し、現実とは別の世界に入り込んだような体験をさせる技術 |
AR | 拡張現実 | 現実の風景や物に加えて、さまざまな情報や映像を付加して見せる技術 |
MR | 複合現実 | 現実世界と仮想現実を組み合わせた映像を提供する技術。利用者の動作にCGを連動させて表示する方法は代表的な例 |
スムーズなxRの体験には、5Gが持つ「超高速・大容量」「超低遅延」といった特長が役立ちます。これらの特長を活かし、以下のようにさまざまなソリューションが提供されています。
楽天モバイルではモータースポーツやスケートボード選手の体験、スタジアムツアーなどでxRと5Gを組み合わせたソリューションを提供しています。
5Gは通信事業者だけでなく、一般企業や自治体など法人でも構築できます。この場合は「ローカル5G」を使うこととなり、以下の周波数帯を利用できます。
ローカル5Gは以下のとおり、すでにさまざまな分野で活用されています。
通信事業者でなくても自前でネットワークを構築でき、業務効率化に役立てられることは大きなメリットといえるでしょう。
楽天モバイルは通信キャリアの一つとして、5Gに関するさまざまな取り組みを行っています。ここからは代表的な4つの項目を通して、 楽天モバイルの実績と今後の取り組み を紹介します。
楽天モバイルでは、5Gエリアの拡大に取り組んでいます。5G基地局は、2021年前半から設置を始めました。2023年6月時点でSub6の5G基地局は10,129局、47都道府県すべてに設置しています。またミリ波の5G基地局も東京23区や大阪市をはじめ、各都市の中心部から設置を進めています。
5GエリアはSub6・ミリ波とも、引き続き全国で拡大していきます。サービスの拡大予定エリアは、楽天モバイルの公式サイトで随時公表していますのでぜひご確認ください。
楽天モバイルは2023年8月1日に、汎用ハードウェアとクラウド技術を用いた「完全仮想化5G SA無線アクセス装置」の構築や商用化に向けた研究の完了を公表しました。この取り組みは2020年7月から、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構と共同で行っていたものです。
「完全仮想化5G SA無線アクセス装置」の活用により、以下のメリットが期待できます。
この技術は商用の5G SAに導入するほか、楽天シンフォニーを通じて全世界に提供する計画です。
スポーツは行う側も見る側も、ライブ感が重要です。5Gの通信技術は、「スポーツは現地で楽しむもの」という常識をくつがえす効果をもたらしました。以下のように、実際に運転しているような操作性や選手と同じ目線での体験、スタジアムにいるような雰囲気などを演出できます。
上記のように、楽天モバイルでは臨場感あふれるスポーツを楽しむサービスを提供しています。
楽天モバイルでは法人や自治体などと連携した「 楽天モバイルパートナープログラム 」を実施しています。これは、楽天モバイル独自の完全仮想化5Gネットワークを活用した新たなサービスを共に創出する取り組みです。さきに紹介した「サーキットで実走する車と、シミュレーターで操作しているバーチャルカーを対決させる」は、代表的な例に挙げられます。
ここまで解説したとおり、5Gは4Gを単純にスピードアップしたものではありません。超低遅延や同時接続数の増加など、インターネットを活用して顧客満足度を上げるうえで欠かせない機能を備えています。
まずは5Gの特長をしっかり把握し、自社の事業にどう活用できるか検討しましょう。そのうえで5Gの性能を発揮できるシステムの構築や導入をおすすめします。新しい事業の立ち上げや事業拡大に、5Gの活用をご検討ください。
楽天モバイルの5Gに関するさまざまな取り組みについては こちら でもご覧いただけます。