個人が持つスマートフォンのMNPは広く普及していますが、法人回線でも簡単にMNPを行えます。まずは法人のMNPについて、特徴を確認していきましょう。
MNPは電話番号を変えずに、携帯電話会社を変えられるサービスです。「Mobile Number Portability」を略した用語で、「エムエヌピー」と読みます。総務省はMNPについて、以下のとおり解説しています。
MNP(Mobile Number Portability)とは、携帯電話・PHSの利用者が携帯会社を変更した場合に、電話番号はそのままで変更後の携帯会社のサービスを利用できる制度です。
電話番号を変えることにはさまざまなハードルがあります。MNPの活用により利用者は携帯電話会社を変えやすくなり、より良いサービスを選びやすくなる効果が期待できます。
MNPの手続きは、以下に挙げる3つのステップを踏むことで行えます。
新規契約の場合と比べて、1番の「MNP予約番号を取得する」が増えるだけで済みます。「意外と簡単」「私にもできそう」と思った方も、多いのではないでしょうか。手順の詳細は「法人がMNPをスムーズに行う3つの手順」で解説しますので、ぜひご一読ください。
MNPは手数料が高額な時期もありましたが、現在では以下のように無料または少額で手続きできます。
回線を多数保有する法人がMNPを行う場合は、費用がかさむかもしれません。Webで手続きを行えば、コストを削減できます。
なお政府広報オンラインでは、「主要事業者では、店頭・電話での申し込みも0円になっています。」と公表しています。
MNO(移動体通信事業者)は現在、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの4社です。それに加えYモバイル、UQ、アハモなどのMVNO(仮想移動体通信事業者)など多数の通信事業者があります。
MNPは「変更後の通信電話会社でも同じ電話番号を使えるサービス」です。このため、原則として電話番号以外の情報は持ち運べません。MNPを契機に端末を新しくした場合は、アプリの再インストールも必要です。
但しキャリアのメールアドレスは手続きを行えば、MNP後も有料で使い続けられる場合があります。方法はご利用中の携帯電話会社にお問い合わせください。またWebメールは、MNP後も同じIDとパスワードでログインできます。
アプリの場合も、登録したIDとパスワードで使える場合が多いでしょう。但しMNPの前に、機種変更と同じ要領で移行手続きを要するアプリもあります。事前にアプリを運営する事業者の公式サイト等でご確認ください。
法人がMNPを活用して携帯電話会社を乗り換えるメリットは、大きく3つあります。どのようなメリットが得られるか、内容を順に確認していきましょう。
手続きの手間を省けることは、大きなメリットに挙げられます。もし解約と契約を別々に行った場合、手続きを2回行わなければなりません。回線を多く持つ法人では手間がかかり、大きな負担となります。
MNPで乗り換える場合はMNP予約番号を個別に取得する手間はかかるものの、契約に関する手続きは乗り換え先の携帯電話会社で1回行えば済みます。MNPの手続きが完了すると乗り換え前の契約は自動的に解約されますから、元々の携帯電話会社で解約手続きを行う必要はありません。携帯電話会社による引き止めに遭う心配がいらないことを、メリットに感じる方も多いでしょう。
MNPで携帯電話会社を乗り換えた場合、電話番号は変わりません。電話によるコミュニケーションは、これまで通りに行えます。
営業担当者など多くの取引先を持つ方は、携帯の電話番号が変わると取引先の数だけ連絡する手間がかかってしまいます。MNPを使えば機種や携帯電話会社が変わっても、電話番号が変わったことを知らせる手間は不要です。MNPは業務に負担をかけることなく、端末の性能アップやランニングコストの削減を行える有効な方法です。
MNPのメリットは、組織の円滑な運営にも役立ちます。電話番号は変わらないわけですから、機種や携帯電話会社の変更後も電話番号が変わったことをアナウンスする手間は不要です。上司や同僚、部下も、スマホや電話帳に記録された電話番号を修正する必要はありません。
法人がMNPを行う手順は、大きく3つに分かれます。スムーズに完了させるためにも、それぞれの手順をしっかり確認しておきましょう。
MNPの手続きは、現在契約中の携帯電話会社でMNP予約番号を取得することから始まります。MNP予約番号は、以下の方法で取得できます。
携帯電話会社によっては、店舗を設けていない場合があります。また電話による手続きは、待ち時間が長くなるかもしれません。このため、公式ホームページからの手続きがおすすめです。
MNP予約番号を取得した後は、新しい携帯電話会社で手続きを進めてください。Web、店頭窓口、電話のどの方法でも、取得した予約番号を使ってMNPの手続きを進められます。
楽天モバイル法人プランへ転入する場合は、MNP予約番号とあわせて以下の書類が必要です。Webで申し込む場合は、PNG、JPG、PDFのいずれかで電子化したファイルをご用意ください。
書類の種類 | 書類の例 |
---|---|
法人確認書類 | 登記事項証明書、印鑑証明書 |
担当者の在籍確認書類 | 社員証、名刺、健康保険証 |
担当者の本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、在留カード |
なおMNPとあわせて新しい携帯端末(携帯電話機)を購入する場合は、この段階で機種や色を選びます。機種選びに迷ってしまい手続きが遅れることのないよう、事前にどの端末を購入するか決めておきましょう。
新しい端末やSIMが到着しても、そのままではまだ新しい回線で使えません。開通手続きを行うことで、新しい携帯電話会社の回線に切り替わります。MNPを完了させるためにも、忘れずに実施しましょう。
楽天モバイルでは開通手続きを、以下の方法で行えます。
MNPを開通手続き当日中に完了させるためには、当日の15時までに開通手続きを完了させる必要があります。「my 楽天モバイル Office」の場合はMNPを申し込んだ回線の状況(ステータス)を、「ご注文履歴」ページで確認できるため便利です。
MNPを活用して「楽天モバイル法人プラン」を選ぶことには、多くのメリットがあります。ここでは主な4つの項目を取り上げ、どのようなメリットが得られるか確認していきましょう。
大手キャリアの通信回線をお使いの場合は、楽天モバイル法人プランに変更することでランニングコストを抑えられるケースも多いです。楽天モバイル法人プランの料金体系は、以下のとおりとなっています。
データ容量 | 音声+データプランの月額料金 |
---|---|
3GB | 1,980円(税込2,178円) |
5GB | 2,380円(税込2,618円) |
30GB | 2,780円(税込3,058円) |
無制限※ | 2,980円(税込3,278円) |
楽天モバイル法人プランは小容量でも安価ですが、30GBなどの大容量で割安となっています。
楽天モバイル法人プランでは、データ通信が無制限※の「音声+データ無制限プラン」をご用意しています。月額2,980円(税込3,278円)で、データを必要なだけ使えます。大容量のファイルをやり取りする、Web会議システムを活用するなどの用途でも安心です。
加えて、Rakuten Link Officeアプリの活用で、国内での通話やメッセージの送受信なども無料で使えます。データ通信も通話も使い放題のプランを選べば、月々の支出は定額となるでしょう。電話にかかる費用を予算化しやすいメリットも見逃せません。
楽天モバイル法人プランは安くても、エリアの広さは充実しています。そもそも楽天回線エリア自体が人口カバー率99.9%※を達成していますから、ビジネスで訪問する箇所は使えるという法人様も多いでしょう。5Gのエリアも順次拡大していますから、より快適な通信が期待できます。
もし訪問先が楽天回線エリア外の場合でも、心配はいりません。パートナー回線を活用できるため、ほとんどの場所でつながります。地方で活躍する法人様や地方への出張が多い方でも、安心してご利用いただけます。
楽天モバイル法人プランは、多くのオプションを無料で使えるメリットもあります。代表的なオプションを、以下に挙げました。
テザリングを無料で、かつ事前申し込み不要で使えることに、メリットを感じる法人様も多いでしょう。
MNPをスムーズに行うためには注意を要する、または事前に準備しておきたいポイントが5つあります。どのような点に注意してMNPを進めればよいか確認し、円滑な乗り換えにお役立てください。
MNPを使って楽天モバイル法人プランへ転入する場合、契約する名義は乗り換え前の契約と同じ名義でなければなりません。もし名義を変えたい場合は、あらかじめ今の携帯電話会社で名義変更を済ませてからMNP予約番号を発行してもらう必要があることに注意してください。
MNPを行う際、携帯端末(携帯電話機)を新しくする必要はありません。SIMを交換すれば、今の端末でも使えます。そのためMNPを行った後、どの端末で電話するかを決めることは重要です。今の端末を使い続ける方法と新しい端末を用意する方法の2つに分けて、注意点を確認していきましょう。
MNP後も今の端末を使いたい場合は、新しい携帯電話会社で対応するかどうか事前にチェックしておきましょう。購入後年数が経った端末は使えなくなるリスクが上がりますが、新しい端末でも非対応の場合があります。事前にしっかり確認することが、失敗を防ぐコツです。
また端末のなかには、SIMロックがかかっている製品もあります。該当する場合は、事前にSIMロックを解除しておきましょう。手続き方法は契約している携帯電話会社の公式サイトでご確認ください。
MNPをきっかけとして端末を変える場合は、以下どちらかの方法で準備を進めることになるでしょう。
MNPを行ったのちに端末を準備する方法はおすすめできません。端末ごとにeSIMへの対応状況や対応するSIMのサイズが異なるため、SIMを再発行しなければならないリスクがあるためです。
端末の選定に時間を要すると、それだけMNPによる乗り換えも遅れます。事前に端末の種類や色を決めておくことで、スムーズにMNPの手続きを進めることが可能です。
事前に予約番号が発行されるタイミングを確認しておくことも、MNPをスムーズに行う重要なポイントです。即時発行されればよいですが、なかには発行まで1週間程度かかる携帯電話会社もあることに注意してください。契約している携帯電話会社の公式サイトでチェックしておきましょう。
発行されたMNP予約番号の有効期間は、発行された日を含めて15日間です。有効期限を過ぎた場合は、再度MNP予約番号を取得し直さなければなりません。
予約番号を取得した後は、速やかにMNPの手続きを進めましょう。楽天モバイル法人プランでは申し込みの時点で、10日以上の有効期間があることを求めています。MNPを手続きする日にあわせて、予約番号を取得できればベストです。
MNPを行う際には、今使っている携帯電話会社の料金がいつまでかかるかという点も気になるポイントです。多くの携帯電話会社では、以下のとおりとなっています。
携帯電話会社によっては解約月の各種割引サービスを適用しない場合があるため、いつもの月よりも料金が高くなる場合があることに注意してください。
コストを抑えるためには、MNPを月末に済ませるとお得な場合が多いです。月末までに開通手続きが済んでいる必要がありますから、計画を立てて申し込みを進めるとよいでしょう。
MNPの手続きは簡単ですが、スムーズに進めるためには事前の準備が重要です。申し込み前に決めておくべき項目やMNP予約番号を取得するタイミングをよく検討したうえで、手続きを一気に進めることが成功のコツです。計画的に準備を行い、スムーズにMNPの手続きを進めましょう。