導入背景
通信量の増加に伴い、上位回線の増強が急務に
コロナ禍以降、家庭でのインターネット利用が常態化し、通信量は年々増加しています。そうした環境変化に対応すべく、同社では上位回線の帯域増強と経路冗長化を視野に入れた通信基盤の見直しを進めてきました。
篠塚様「弊社はインターネットやプライマリ電話、ひかりテレビなど多様なサービスをバックボーン1系統で支えてきましたが、近年は利用者増加によって夜間帯を中心にトラフィックの伸長が顕著になってきました。
さらにコロナ禍を経て在宅時間が増え、家庭でのストリーミングやオンライン利用が常態化していることで、上位回線の帯域は年々厳しくなっています。
これまでは東京のデータセンターと接続された100Gbpsの専用線を2本使って運用していましたが、BCPの観点からもキャリアやルートの冗長化は必要不可欠でした。特に回線障害時の切り替えができない構成では、数万世帯に影響が出る可能性があります。
そのような状況を踏まえ、2024年に新しいデータセンターを立ち上げることが決まり、それにあわせて上位回線の設計も見直す方針を固めました。帯域増強・経路冗長・BCP強化という3点を同時に満たす構成を目指し、専用線の新規導入を検討するフェーズに入りました。」
採用の決め手
「コスト」だけでは決めない。通信品質・設計支援・信頼性まで総合的に評価
専用線の新設にあたり、複数キャリアからの提案を比較検討した同社。コストだけでなく、通信品質・初期設計支援・サポート支援まで含めた総合力で楽天モバイルを選ばれました。
篠塚様「新しいデータセンターを立ち上げるとなれば、そこにどういう回線をどのルートで引き込むかという設計は非常に重要です。特に専用線となると初期投資も大きいため、単に価格だけで判断するわけにはいきません。回線の品質や帯域増強、運用時の安定性、万が一の障害時の対応力、キャリアとしての信頼性もすべて含めて慎重に検討しました。
その中で、楽天モバイルは当初から非常に柔軟に相談に乗っていただき、通信品質も優れておりコストパフォーマンスは他社と比較しても圧倒的でした。
楽天モバイルとの取引は初めてだったので多少の不安もありましたが、事前のすり合わせにしっかり時間を取っていただき、我々の技術的要件を正確に理解した上で構成を一緒に詰めていくプロセスはとても信頼できました。
最終的には100Gbps回線を2系統、完全に異なるルートで敷設する構成を組んでいただき、我々の『帯域増強・経路冗長・BCP強化』という要件を満たすことができたため、採用を決定しました。」
導入プロセス
データセンターの選定から約8カ月。限られた人員とスケジュールで段階的に設計・構築を実施
ケーブルテレビでは、回線の冗長化に向けて2024年春から検討を開始。回線設計、構築、検証を少人数体制で進め、12月に回線開通、2025年1月から本格運用を開始しました。
島田様「2024年の大きなテーマとして、新しいデータセンターの立ち上げがありました。春先にその構想が固まり、拠点と回線をどう設計するかという検討に入りました。「既存の回線と同じキャリアやルートにはしないこと」は大前提です。障害時のリスクを分散するためには、系統分離された完全な冗長構成が必須でした。
4月に構想を立て、8月にはキャリアを楽天モバイルに決定。そこから回線ルート、物理構成、機器設置、監視の仕組みなどを順に詰めていきました。特に回線敷設は100Gbps×2系統の長距離光ファイバーになりますので、設備調整や事前調査の段階から非常に多くの工程が発生します。
我々の部署は少人数体制のため、社内リソースだけで対応するのは難しく、楽天モバイルに伴走していただいたことが非常に大きかったです。最終的に12月に回線開通、翌2025年1月から本格運用に入りましたが、タイトなスケジュールの中で一切のトラブルなく進行できたのは、設計・段取り・コミュニケーションが非常にスムーズだったからだと感じています。」
活用方法
インターネット接続サービスをはじめとするの多くのサービスの通信基盤として活用
ケーブルテレビではインターネット接続サービス(ひかりネット)、法人向けサービス(ひかりサーバー)などの上位回線として、WDM専用線を柔軟かつ冗長な構成で運用されています。
島田様「楽天モバイルのWDM回線は100Gbps×2系統で導入し、既存の2系統と合わせて合計4本のバックボーン構成になっています。これは主にインターネット接続サービスの上位回線として活用しています。
トラフィックが最も集中するのは夜間から深夜帯ですが、その時間帯にサービスを安定して提供することが、我々の最大の使命であり、そのためにこの4系統構成は非常に有効に機能しています。」
導入効果
帯域増強と冗長構成の両立により、通信の安定性とBCP体制を大幅に強化
トラフィックのピークにも余裕を持って対応できる構成を実現し、障害発生時にもサービスを止めない通信体制が整いました。
島田様「導入後の最も大きな成果は、やはり帯域面と冗長性の強化です。100Gbpsの回線を2系統追加したことで、トラフィックピーク時にも余裕が生まれ、今後の利用者増や法人契約の拡大にも十分対応できる帯域構成となりました。
また、冗長化によるBCP強化も非常に大きなポイントです。従来は障害時にサービス提供への影響を懸念していましたが、現在はルート分離された4系統構成により、1本に障害が出ても瞬時に他回線へ切り替えることが可能です。これはサービス提供者としての安心感にもつながっています。
さらに、導入プロジェクト全体を通じて印象的だったのが「トラブルゼロ」での開通でした。100Gbpsの長距離回線を短期間で引き込む作業には多くの不確定要素があるのですが、楽天モバイルとの事前調整や現場対応が非常にスムーズで、スケジュール通りに全工程を完了できました。
最近では軽微な通信トラブルが発生したこともありますが、その際の対応スピードも早く、24時間365日のサポート体制の有用性をしっかり実感できています。」
今後の展望
地域の通信インフラとして、さらなるサービス品質の向上とエリア拡張を視野に
ケーブルテレビでは新設したバックボーン基盤を活かし、法人向けサービスの強化やエリア拡大に取り組んでいく方針です。
篠塚様「今回のWDM回線の導入によって、バックボーンの帯域と冗長性は大きく改善されました。今後はこのインフラを活かして、法人向けの専用回線やクラウド接続、さらに高品質なサービスを求める顧客への提案を強化していきたいと考えています。
また、当社は栃木県だけでなく、群馬や茨城方面にもエリアを広げています。新しいエリアでのインフラ整備においても、今回構築した基盤や運用ノウハウを展開することで、安定したサービス品質を確保していきたいです。
将来的には、地域最安値への挑戦や、電気・通信・テレビといった生活インフラの融合サービス、また内陸型データセンターの建設なども携われたらいいなと思っています。
今後も、通信インフラ事業者として地域に信頼される存在であるために、品質・コストパフォーマンス・サポート体制を兼ね備えたパートナーとともに、柔軟で強靭なネットワークの構築を進めていきます。」